どうも。ロシアとの貿易を継続する中国が、世界中から経済制裁されているロシアの足下を見て、高値のボッタクリ商売をしていたら面白いですね。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『楢山節考』です。
70歳になると人減らしのため楢山で姥捨を行う村があった。69歳になるおりんは、息子の辰平と孫たちを世話しながら、辰平の後妻を探していた。辰平は去年、妻に先立たれていたのだ。楢山祭りの日、辰平は隣の村から妻を迎えることができた。おりんは楢山へ行く準備を始めるが、自分の歯が立派であることを恥じ、石臼にぶつけて折ってしまう。そして正月の数日前に突然「明日山へ行く」と言い出すのだった(Yahoo!映画より引用)。1958年公開作品。監督は木下恵介で、出演は田中絹代、高橋貞二、望月優子、市川団子、東野英治郎、三津田健、宮口精二、伊藤雄之助。
姥捨て伝説を題材にした深沢七郎の小説を原作にして、木下恵介監督で映画化した作品です。1983年に同じ原作を今村昌平監督で再映画化しています。
出演者の顔ぶれを見れば、東野英治郎と西村晃のW黄門様が実現していたり、三代目市川団子すなわち香川照之のお父さんがいたりするという小さな発見をすることができます。
息子の辰平(高橋貞二)のために姥捨てに志願した、おりん(田中絹代)は石臼で前歯を折ります。田中は役作りのため、本当に前歯を抜くという高過ぎるプロ意識を見せます。今村版で同じ役を演じた坂本スミ子も本当に前歯を削りました。
本作は冒頭に歌舞伎の方式を取り入れ、劇中の音楽が長唄と浄瑠璃の和楽で構成されています。更に、ほぼスタジオ内のセットで撮影されている本作は極めて舞台演劇的な様式美で貫かれています。今村版は本作との差異化を図るため、生々しい土俗的リアリズムとエロスを強調したのでしょう。
本作はカラー作品でありながら、モノクロ作品のように色味の少ない美術と衣装で作られています。日本初のカラー作品『カルメン故郷に帰る』を監督した木下が色彩に無頓着であるはずがありません。これも本作が古の物語であることを意識した様式美の一つです。
しかし、本作は現代と無関係な古の物語ではありません。ラストで現代の風景を映しているのは、おりんと辰平の親子の情が時代を超えた普遍的なテーマであることを示しているのです。
★★★★☆(2022年2月17日(木)インターネット配信動画で鑑賞)
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