【映画評】火口のふたり | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。ロシアのウクライナ侵攻という他人の不幸に乗じ、憲法改正だの軍備増強だの核武装だの自説を披露して快楽を得る奴は、最低クズの火事場泥棒です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『火口のふたり』です。

 

東日本大震災から7年目の夏。離婚、退職、再就職後も会社が倒産し、全てを失った永原賢治は、旧知の女性・佐藤直子の結婚式に出席するため秋田に帰郷する。久々の再会を果たした賢治と直子は、「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」という直子の言葉をきっかけに、かつてのように身体を重ね合う。1度だけと約束したはずの2人だったが、身体に刻まれた記憶と理性の狭間で翻弄され、抑えきれない衝動の深みにはまっていく(映画.comより引用)。2019年公開作品。監督は荒井晴彦で、出演は柄本佑、瀧内公美。

 

白石一文の同名小説を実写映画化した作品です。原作者の許諾を得て、舞台を福岡県から秋田県に変更しています。それ故、秋田県民ならば馴染みのある場所や祭りが映ります。

 

柄本佑と瀧内公美の二人芝居が物語の大半を占めます。柄本が演じる永原賢治の父親役で、柄本明が声だけ出演しています。だから画面に映るのは柄本と瀧内とエキストラの皆さんだけです。

 

監督兼脚本の荒井晴彦は『新宿乱れ街 いくまで待って』以後、数々の日活ロマンポルノ作品を手掛けてきました。また物語の大半が男女の二人芝居で占められる『ヴァイブレータ』で高評価を受けてきました。R18指定の性描写だらけの二人芝居である本作は荒井の得意とするものです。

 

2018年という時代設定に合わせた政治的・社会的な話題が台詞に含まれています。唐突に出てくる感は否めませんが、作品に時代性というリアリティーを付与する手法です。政治的・社会的事象と無縁で生きる大人なんてリアリティー皆無です。

 

終盤でタイトルに関係する未曽有の非常事態が発生します。それでも未来について計画せず、現在を生きることを優先する二人は、時代に流されることなく抗いながらサバイバルしようとしています。この選択には、先の見えないコロナ禍という非常事態を生きる現実の私たちにとって一考に値するものがあるのです。

 

★★★☆☆(2022年2月11日(金)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

 

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