どうも。ロシアのウクライナ侵攻を受け、日本は憲法改正して軍備増強と核武装をすべきだと勇ましく言う人は、自分も加害者であるプーチンになりたいと憧れる大バカ野郎です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『狂熱の季節』です。
鑑別所帰りの若者二人が無軌道な青春を狂ったように疾走する。1960年公開作品。監督は蔵原惟繕で、出演は川地民夫、郷鍈治、松本典子、千代侑子、長門裕之。
半世紀以上も前に公開された日活映画でありながら、近年になって海外で「日本ヌーヴェルヴァーグ」として公開当時より高評価されています。
ジャズのビートに乗せたオープニングタイトルがカッコいいです。これほどカッコいいジャズを作曲した黛敏郎は、後に思想が右傾化したのだから不思議なものです(グループサウンズの作曲をした、すぎやまこういちも後に右傾化しましたが)。
主役の川地民夫がエネルギッシュにアナーキーな若者を演じています。目付きや挙動で狂気を感じさせます。東映に移ってからの『まむしの兄弟』シリーズより強烈な印象を残します。
明(川地)、勝(郷鍈治)、ユキ(千代侑子)の三人が盗んだ車で街中を走るシーンは、おそらく無許可で撮影しています。街頭の人々の反応が生々しいからです。この即興性が本家フランスの『勝手にしやがれ』と同じヌーヴェルヴァーグと呼ばれる所以でしょう。
しかし、本作はヌーヴェルヴァーグというより、ほとぼりが冷めてから帰ってきた太陽族映画です。無軌道で無秩序な若者を描いた太陽族映画は当時の大人から叩かれ、上映禁止運動が起きるほどでした。その騒ぎが沈静化した頃に本作を世に出したのです。本作に『太陽の季節』の主役である長門裕之が出演していることは、それを匂わせます。
本作から当時の日本映画の先進性と活力を感じるのです。
★★★☆☆(2022年2月10日(木)インターネット配信動画で鑑賞)
にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)