【映画評】間違えられた男 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。中国と明確に名指ししない「人権非難決議」など出したところで、腰が引けたヘタレぶりを中国に鼻で笑われ、全く喧嘩になりません。喧嘩するなら徹底的にやれ。喧嘩する度胸がないなら黙ってろ。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『間違えられた男』です。

 

金を借りるために生命保険会社へ出向いたマニーは、以前入った強盗犯と間違えられ拘束される。高額の保釈金を支払い、妻と共にアリバイ立証のため奔走するが……(映画.comより引用)。1957年日本公開作品。監督はアルフレッド・ヒッチコックで、出演はヘンリー・フォンダ、ヴェラ・マイルズ、アンソニー・クエイル、ハロルド・J・ストーン。

 

1953年に実際あった事件を基にした、アルフレッド・ヒッチコック作品にしては珍しく、人を殺さないサスペンスです。冒頭でヒッチコック監督が出演して実際にあった事件であることを強調しています。

 

人を殺さなくても、ヒッチコック監督がサスペンス映画で培ってきたテクニックが用いられています。容疑が晴れずに留置所に入れられたマニー(ヘンリー・フォンダ)が激しい不安感に襲われるシーンや、保釈されてから証人を捜しても見つからないことでマニーの妻ローズ(ヴェラ・マイルズ)が精神を病んでいくシーンは、観客にも不安感や緊張感を生じさせます。

 

本作のテーマは冤罪の恐ろしさです。無実の者を社会的に抹殺する冤罪は、どの殺人鬼よりも怖いものです。本作の後、冤罪事件を陪審員の視点から描く『十二人の怒れる男』をプロデュースし、主演も務めたフォンダは、その恐ろしさを表現したかったのかもしれません。

 

ところで日本映画で冤罪事件を扱った作品には、周防正行監督の『それでもボクはやってない』があります。マニーが護送されるシーンなど、同作は本作の影響を受けているようです。両作品とも主人公が無実を証明しようとする物語ですが、日本の場合、逮捕=有罪と決めつける大衆の未熟な法感覚があるので、冤罪の社会的な「殺傷能力」はもっと強いのが現実です。

 

それ故に本作のマニーが粘り強く無実を証明しようとする姿は、日本では稀有な理想像なのです(日本が先進国ならば、その理想像が当然視される社会でなければなりませんが)。

 

★★★★☆(2022年1月13日(木)DVD鑑賞)

 

 

 

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