どうも。愛国心を煽る者がろくなものじゃないことは『西部戦線異状なし』の老教師を見れば分かります。あれは間違いであって、上手くやれば出来るというものではありません。誰がやっても、皆あの様になるのです。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ロイドの要心無用』です。
周囲の期待を一身に集め、田舎から都会に出て来た青年がいた。残してきた恋人には主任を任され……なんて手紙を出すが、実のところ、ただのデパートの売り子。それも度重なるドジで、首さえも危ない状態だった。そこへ彼女がやってきて、なんとか取り繕おうとしてますますドツボにはまり、ついに解雇通告を受け取ってしまう。だが、壁のぼりが得意な友人をビルに登らせる販促キャンペーンに借り出すことで、何とか汚名返上を果たそうと画策。しかし宿敵の警官に友人は追われ、ついに彼自身がビルに挑むことに……(Yahoo!映画より引用)。1923年日本公開作品。監督はサム・テイラーとフレッド・C・ニューメイヤーで、出演はハロルド・ロイド、ミルドレッド・デイヴィス、ビル・ストローザー、ノア・ヤング、ウェストコット・クラーク。
サイレント映画時代において、「三大喜劇王」と称されたのがチャールズ・チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイドです。チャップリンとキートンは今でも語られる機会がありますが、ロイドは彼らほど語られていない気がします。ロイド眼鏡という言葉も死語になりつつあります。
サイレント映画では動きを活かした笑いが有効であり、特にキートンやロイドは体を張ったハードなアクションで楽しませてくれます。本作におけるビルをよじ登るアクションシーンはスタントマンを使わず、ロイド本人が演じていたというから驚きです。
その体の張り方は半端ではありません。ロイドは『ロイドの化物退治』撮影中の事故で右手の親指と人差し指を失い、義指着用で本作のアクションに挑んでいます。キートンが『キートンの探偵学入門』撮影中に首を骨折したというエピソードに匹敵します。今だったら労災案件です。
ロイドやキートンによる体を張ったアクションの系譜は、ジャッキー・チェンからトム・クルーズへと受け継がれているという点で、本作は映画史におけるマスターピース的な作品なのです。
★★★☆☆(2021年12月30日(木)インターネット配信動画で鑑賞)
にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)