どうも。NHKの捏造字幕問題は誰か黒幕からの指示によるものであって欲しいです。そうでなければ公共放送機関であるNHKのチェック体制がポンコツという悲惨なことになります。国交省の統計改竄問題もそうです。誰か黒幕が指示したのではなく、官僚の事務能力がポンコツだから起こったというのであれば、日本の未来には絶望しかありません。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ニッポンの猥褻』です。
87歳の自称「性学者」が自分の好色人生を回顧する。1993年公開のピンク映画。監督は深町章で、出演は久保新二、橋本杏子、石川恵美、アイリーン、岸加奈子、林由美香、清水大敬、平賀勘一、快楽亭ブラック、山本竜二、池島ゆたか。
新東宝映画株式会社創立30周年記念作品です。この新東宝は、かつて宇津井健や菅原文太がデビューした一般映画の新東宝株式会社とは別物で、ピンク映画の製作・配給会社です(一般映画の新東宝が倒産した後、その配給網を引き継いだので完全な別物ではありませんが)。
記念作品ということで、久保新二、山本竜二、池島ゆたかというピンク映画史に名を遺すレジェンド男優が出演しています。レジェンド女優は出演しても、熟女ファン以外の観客のニーズに応えられないので、若い女優が出演しています。
物語が明治時代から昭和時代まで続き、主役の久保が青年期から老年期まで演じるので、本作は大河ドラマです。その内容を1時間未満にギュッと濃縮しています。
脚本の瀬々敬久は日本の近現代史を通して「猥褻とは何か?」という深いテーマを描こうとしたのでしょう。本作に阿部定(石川恵美)が登場するのは、芸術か猥褻かという論争を起こし、裁判にまで発展した大島渚監督の『愛のコリーダ』へのオマージュと捉えられます。そのテーマは記念作品に相応しいものです。
しかし、主役を演じる久保のキャラクターに合わせたコメディー調の演出によって、そのテーマを忘れてしまいます。久保、快楽亭ブラック、アイリーンが絡むシーンは、笑いのプロであるブラックがいるので、かなり可笑しいです。
知的なテーマと観客へのサービスを一緒くたにした本作は、ピンク映画というジャンルの懐の深さを表しているのです。
★★☆☆☆(2021年12月24日(金)インターネット配信動画で鑑賞)
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