どうも。自らの名を冠したNHKドキュメンタリー番組で事実の捏造が為されたことに対し、他人事のように無責任であろうとする河瀨直美は映画監督どころか社会人として失格です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『座頭市血笑旅』です。
甲州路を駆ける一丁の駕籠が襲われ、赤ん坊を抱いた女が殺された。市の首を狙う博徒たちが、市と人違いをしてしまったのだ。自分の身代わりになった母親のために、市は十六里先の宮木村にいる父親の元へ、赤ん坊を送り届けようとする・・・(角川映画データベースより引用)。1964年公開作品。監督は三隅研次で、出演は勝新太郎、高千穂ひづる、金子信雄、加藤嘉、北城寿太郎、石黒達也、天王寺虎之助、毛利郁子。
勝新太郎主演の人気時代劇シリーズ第8作です。題名は「ざとういち・けっしょうたび」と読みます。
市(勝新)は、母親が自分の身代わりになって殺された幼子を父親の元に送り届けるため、子連れ座頭市とも言える状態で旅をします。幼子の小便を勢いよく顔にかけられても怒らず、乳を欲しがる幼子に自分の乳首を吸わせる市。宿に泊まる時、遊女に子守を任せても、幼子が寝付くまで気になって眠れない市は、かなりのイクメンぶりを発揮します。女スリ(高千穂ひづる)のサポートもありますが。
イクメン・オブ・ザ・イヤーを取れそうな市ですが、賞金首なのでヤクザたちに命を狙われます。子連れというハンディを負いながら、修羅場の市は優しい按摩から凄腕の人斬りへ変貌し、ヤクザたちを切り殺していきます。この演技の硬軟を切り替えるのが勝新の上手さです。
やっと幼子を送り届けても、その父親(金子信雄)は我が子と認めないクソメンです。それどころかヤクザと手を組んで市を殺そうとします。しかも市の超人的な聴力を封じるため、炎が燃え上がる槍で囲む極悪な作戦に出ます。その絵面は、かつて大仁田厚がやったファイヤーデスマッチのようです。
市は絶体絶命の危機を脱し、ヤクザたちを全滅させます。幼子に愛情が移った市は一緒に旅を続けようとしますが、兇状持ちのヤクザ者である市に育てられても、その子は幸福になれないと住職(加藤嘉)に諭されて断念します。幼子を住職に託した市は一人で旅に出ます。途中で按摩の一行に会っても加わることなく、一人で旅路を歩みます。その姿は孤独で生きる過酷な運命を背負ったダークヒーロー座頭市なのです。
★★★☆☆(2021年12月23日(木)インターネット配信動画で鑑賞)
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