【映画評】野良猫ロック ワイルド・ジャンボ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。北京五輪を中止させたいのならば、東京五輪を中止していれば良かったのに。あれほどの新型コロナ感染拡大中に東京五輪を強行開催できたことは、北京五輪を中止しない理由の一つになり得ますから。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『野良猫ロック ワイルド・ジャンボ』です。

 

退屈な日常を過ごしているペリカンクラブの若者、ガニ新、ジロー、デボ、C子。自由気ままな毎日を過ごしているが満たされない。ある日、タキの前にアサ子が現れ、新興宗教団体の資金強奪作戦を持ちかけることから、彼らの退屈な日常が一変する(日活作品データベースより引用)。1970年公開作品。監督は藤田敏八で、出演は梶芽衣子、藤竜也、范文雀、地井武男、夏夕介、前野霜一郎、内田良平、白木マリ、和田アキ子、にしきのあきら、野村真樹。

 

『野良猫ロック』シリーズ第2作です。前作『女番長 野良猫ロック』から3ヶ月後に公開されるハイスピードな製作ペースです。次回作『野良猫ロック セックス・ハンター』は本作から1ヶ月後に公開され、おそらく同時進行で撮影していたと思われます(同作の監督は長谷部安春)。

 

前作との話の繋がりは、ほとんどありません。梶芽衣子、藤竜也、和田アキ子ら出演者が重複しても、前作と異なる役で出演しています。和田は台詞が無く、歌唱シーン程度しか出演していません。にしきのあきら(現・錦野旦)と野村真樹(現・野村将希)がチョイ役で出演しているのは貴重です。

 

ビキニ姿の可愛い梶、ギラギラした地井武男も今から見れば貴重です。梶は『さそり』シリーズで凄みを出し、地井は『ちい散歩』で穏やかになりましたから。藤は肩に力が入っていない、お得意の自然体な演技です。

 

藤田敏八監督は、ガニ新(藤)、C子(梶)らペリカンクラブの退屈な日常を脱力したオフビート演出で描きます。資金強奪作戦のために海辺で訓練するシーンも、北野武監督の『ソナチネ』を思い出すほど、のんびりしたムードになっています。これはペリカンクラブの退屈さを観客にも体感させるだけでなく、ドラマティックな展開にしないことによってリアリティーを追求したからでしょう。

 

新興宗教団体(「正教学会」という何となく生々しいネーミング)から資金強奪するという非日常に身を投じ、退屈な日常から抜け出ても、その結果は甘くないという現実がペリカンクラブの若者たちに突き付けられます。この結末はアメリカン・ニューシネマの影響であり、本作は当時の映画界における流行を取り入れていたのです。

 

★★★☆☆(2021年12月16日(木)DVD鑑賞)

 

 

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