【映画評】煉獄エロイカ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。安倍晋三でも鳩山由紀夫でも、総理大臣を辞めて無責任な立場になってから外交をかき乱すのは迷惑でしかありません。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『煉獄エロイカ』です。

 

原子力機構で働く庄田力弥の家に、妻の夏那子がアユという少女を誘拐してくる。家にはアユの父親だという男が娘を連れ戻しに来るのだったが、その男はかつて前衛党で活動した力弥の同士だった。当時、彼らはアメリカ大使の誘拐を計画していたが、裏切りにより前衛党そのものが崩壊してしまったのだ。力弥はアユを犯すのだったが…(Yahoo!映画より引用)。1970年公開作品。監督は吉田喜重で、出演は岡田茉莉子、鴨田貝造、木村菜穂、牧田吉明、岩崎加根子、武内亨、筒井和美。

 

吉田喜重監督がATG(アート・シアター・ギルド)で撮った作品です。ATGは低予算なので、大掛かりなセットを作る金銭的余裕はありません。それ故、SF映画のように無機質な建物の外観や内装はロケハン担当が頑張った成果でしょう。

 

その無機質な建物を背景にして、吉田監督ならではの凝りまくった構図で撮るので、一カットごとの「止め画」としての力が強いです。その止め画を編集して繋ぐことによって、物語が展開していきます。これは漫画の手法に近いものがあります。

 

本作は物語の時系列を混乱させ、抽象的・観念的な台詞を棒読みする(良く言えば感情を抑制して話す)芝居をさせることによって、作品の解釈を難解にされています。それでも私なりに意味を見出してみましょう。

 

劇中の台詞に「革命家になろうとしてレズビアンになる」や「自由を求めると男色家になる」という趣旨のものがあります。そこから男女の異性愛を反革命的で不自由な支配関係だと捉えていると解されます。この場合、男が支配者で女が被支配者です。

 

この支配関係が根底にある社会では、男たちによる革命は成功しません。何故ならば、それは支配階級内の権力闘争に過ぎず、支配関係を破壊するに至らないからです。真の革命を実現できるのは、「自分が神だと信じていた者を討ちに行く」被支配階級の女です。

 

本作は社会変革の担い手を女性に託そうとするフェミニズム志向の作品なのです。

 

★★★☆☆(2021年12月11日(土)DVD鑑賞)

 

 

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