【映画評】「十三号待避線」より その護送車を狙え | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。日本人の多くはワクチン接種済みのため、コロナに感染しても重い症状が出にくくなっています。症状が出なければPCR検査を受けないので、統計上の感染者数は減少します。それが無症状でも積極的にPCR検査を受けさせる諸外国と統計上の感染者数に大差が出る原因でしょう。ならばPCR検査に引っかからない無症状感染者がうじゃうじゃいるかもしれないので、不織布マスク着用など感染予防策を怠ってはならないのです。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『「十三号待避線」より その護送車を狙え』です。

 

護送車を狙撃した犯人を追う刑務官が人身売買組織の闇を暴く。1960年公開作品。監督は鈴木清順で、出演は水島道太郎、白木マリ、渡辺美佐子、芦田伸介、小沢昭一、内田良平、安部徹。

 

日活在籍時の鈴木清順監督作品です。日活映画かどうかは野呂圭介が出演しているかどうかが基準となり易いです。本作にもストリップ劇場の支配人役で出演しています。

 

後に「清順美学」と呼ばれる奇想天外な演出は本作に見られません。その代わりと言っては何ですが、とにかくストーリー展開が速いです。もしかしたら話の辻褄が合っていない部分があるかもしれません。しかし、それを気付かせないほど、観客を引き込ませます。

 

私が少々気になったのは、主人公の刑務官(水島道太郎)が旅館に泊まり、そこの番頭(青木富夫)が備え付けの東芝製カラーテレビをアピールするシーンです。いわゆるタイアップであり、鈴木監督の『殺しの烙印』でパロマ製炊飯器をアピールしたのと同じ目的です。ただし『殺しの烙印』の場合、宍戸錠の演じる主人公が飯の炊ける匂いフェチという奇抜な設定を生み出したのに対し、本作の場合、ストーリー上は何も生み出しません。お遊びの一種ですね。

 

鈴木はクセがすごい監督なので、レコードで言うところの「B面」作品を任されることが多かったそうです。興行のメインである「A面」作品を任せて大コケしたら、配給会社である日活が困るからです。現に「A面」作品のスターである石原裕次郎は鈴木作品に全く出演していません。

 

カラーではなく白黒であり、しかも上映時間79分である本作は「B面」作品だったのでしょう。しかし、そうでありながらアクションシーンで大型トレーラー車や蒸気機関車を走らせており、当時の映画作りの豊かさを思い知らされるのです。

 

★★★☆☆(2021年11月25日(木)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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