どうも。「将来世代に借金を残してはいけない!」と財政出動を拒否するのは、リレー競争で今バトンを持っている走者(現役世代や子育て世代)の足を引っ張って、次の走者(将来世代)にバトンを渡せなくさせる愚行です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『不良番長 王手飛車』です。
経営コンサルタントを開業した不良グループのカポネ団が、大企業の用地買収に絡むヤクザの大門組に立ち向かう。1970年公開作品。監督は内藤誠で、出演は梅宮辰夫、谷隼人、夏珠美、榊原史子、山城新伍、長沢純、鈴木やすし、安部徹、由利徹、渡辺文雄、菅原文太。
梅宮辰夫主演の人気シリーズ第6作です。カポネ団のリーダーである神坂弘(梅宮)は、かつてのムショ仲間で今は土建会社を経営している滝川雄平(菅原文太)と再会します。梅宮と菅原が兄弟分という設定は『仁義なき戦い』の若杉と広能に重なります。
ムショ帰りのカポネ団は経営コンサルタントを開業します。元々経営についての知識がないので、話の内容がデタラメであるにもかかわらず、商売は上手くいきます。いつの時代も経営コンサルタントなんてインチキで胡散臭い職業です。
劇中で「ナンセンス」や「異議なし」というセリフが飛び交い、カポネ団が全学連から闘争マニュアルの印刷を請け負い、日系人の印刷工(山城新伍)がチェ・ゲバラの本を愛読し、カポネ団に協力するインテリ紳士(由利徹)の正体が〇〇であるのは、製作当時の世相が反映されたものです。昔は映画に政治を持ち込んでも面白く料理できたのに、今は「音楽に政治を持ち込むな!」というバカな声に委縮するのですから、日本のエンターテインメント業界は随分と情けなくなりました。
神坂と滝川の友情、神坂の飯塚秋子(榊原史子)への純愛をドラマティックに盛り込みながら、最後はカポネ団がバイクに乗って殴り込みます。富士山の裾野で日本とは思えない爆破と銃撃戦を展開し、大勢の人が死にます。それでも後味が悪くない陽気なラストを見せます。現在の日本映画界で本作のように吹っ切れた娯楽作品は、なかなかお目にかかれない代物なのです。
★★★☆☆(2021年11月22日(月)インターネット配信動画で鑑賞)
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