どうも。石原慎太郎と小泉純一郎に騙された人は安倍晋三にも騙され、橋下徹にも騙されます。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『新女囚さそり 701号』です。
政治家の陰謀で姉を殺され、輪姦されて、女子刑務所に投じられた松島ナミが、怨念を抱いて次々に仇に復讐していく姿を描く(映画.comより引用)。1976年公開作品。監督は小平裕で、出演は多岐川裕美、范文雀、夏夕介、根岸としえ、浅香光代、中谷一郎、山本麟一、金子信雄。
篠原とおる原作の劇画を実写映画化した梶芽衣子主演の「さそり」シリーズを、多岐川裕美主演で復活させた作品です。当時まだ新人に近かったにもかかわらず、多岐川はなかなかの眼力を持っています。しかし、梶の迫力には及びません。梶の後継者となり得たのは『バトル・ロワイアル』で相馬光子役を演じた柴咲コウですが、彼女はバイオレンス路線に乗って来ませんでした。多岐川も東映を移籍した後、バイオレンス路線から離れています。
松島ナミ(多岐川)を陥れる三浦代議士役を中谷一郎が演じています。中谷はテレビ時代劇『水戸黄門』での風車の弥七役が有名ですが、本作では憎々しい悪役を演じています。本作の前年に公開された『金環蝕』で、中谷は田中角栄をモデルにした役を演じており、そのキャラクターを引きずった配役でしょう。何しろ本作が公開される前、ロッキード事件が発覚しましたから。
ストーリーの大筋は梶主演のシリーズ第1作『女囚701号 さそり』と同じです。しかし、所々で演出のチープさが目立ちます。ナミを殺そうとした房江(浅香光代)が逆襲に遭い、焼き殺されるシーンで火を点けられるのが人形バレバレでした。音楽に平尾昌晃が起用されたのは新しさを狙ったのでしょう。しかし、本作のテーマが持つ重さに比べ、軽い印象を受けます。
どうしても梶主演の「さそり」シリーズと比較され、低評価の烙印を押されがちな本作です。それでも本作をフォローすれば、渡辺文雄、戸浦六宏、小松方正ら大島渚監督作品の常連俳優を出演させることによって、反体制・反権力・反国家な政治的メッセージを強調した伊藤俊也監督の「さそり」シリーズが原作から離れたオリジナル作品であり、意外と本作が原作劇画に近いのではないかと言えるのです(原作劇画を未読なので断言できませんが)。
★★★☆☆(2021年11月4日(木)インターネット配信動画で鑑賞)
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