どうも。11月からの行動規制緩和は、GO TOキャンペーンからの感染拡大の二の舞になるでしょう。菅義偉首相からのちっとも有り難くない置き土産です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『惑星ロボ ダンガードA対昆虫ロボット軍団』です。
昆虫星人からの襲撃に立ち向かう、パイロットのタクマたちの活躍を描く劇場用アニメ。1977年公開作品。監督は石井輝男と明比正行で、声の出演は神谷明、柴田秀勝、富田耕生、八奈見乗児、大竹宏、古川登志夫、吉田理保子、杉山佳寿子。
松本零士原作のテレビ用アニメの劇場版です。懐かしい「東映まんがまつり」の1本として公開されました。
監督は『網走番外地』シリーズや異常性愛路線の鬼才、石井輝男です。石井監督にとって映画人生唯一のアニメ演出です。共同監督の明比正行が石井作品の助監督を務めた縁から、本作の演出をオファーしたという話があります。当時の石井監督は仕事を干され気味だったので、他の仕事(実写映画の演出)という選択肢がなかったのでしょう。
初のアニメ演出ながら、石井監督らしさは出ています。冒頭で隊員が昆虫星人に殺されるシーンは、子供向けアニメらしからぬグロ描写です。また昆虫星人たちと格闘するタクマ(声:神谷明)のアクションは、『直撃!地獄拳』における千葉真一のそれに重なります。
これらよりも石井監督らしいのはテンポの速さです。おそらく数話分にわたるであろうエピソード群が25分間にギュッと詰め込まれています。石井監督は面白い映画作りのコツとして、3本分の脚本を1本の作品にすると言っていたそうです。それぞれの脚本から面白い部分だけを抜き取り、1本分の話にまとめるのです。確かに面白い映画になりますが、ストーリー展開に無理が生じます。石井監督の凄さは、その無理を感じさせないほどパワフルに押し切る演出です。
この方法は石井監督だけのものではありません。『007』シリーズや『ミッション:インポッシブル』シリーズの作品を分析すれば、3つのエピソード(3ヶ国の舞台)に分かれるはずです。石井監督は娯楽映画における勝利の方程式を知っていたのです。
その石井監督が本領発揮できる実写映画を作れず、本作のような子供向けアニメ映画に関わっていたことに当時の東映との関係性が表れているのです。
★★☆☆☆(2021年8月26日(木)インターネット配信動画で鑑賞)
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