どうも。総理が辞任したから「お疲れ様でした」という理由で内閣支持率が上昇するなんてやめてくださいよ。「がんばったで賞」じゃないんだから。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『日本暴行暗黒史 異常者の血』です。
東京。強姦事件を捜査する刑事は、犯人の男が自分と同郷であり、殺人、強姦、近親相姦・・・といった呪われた同じ血を引き継ぐ人間だと知る。明治、大正、昭和そして現代と時代を越えて描かれる陰惨な黒い血の連鎖の物語が始まる(DIGレーベル公式サイトより引用)。1967年公開のピンク映画。監督は若松孝二で、出演は野上正義、山尾啓子、山本昌平、山谷初男、久保新二。
ピンク映画であっても、若松孝二監督なのでエロを期待してはいけません。性的興奮よりも知的興奮を得られるような映画です。
今も昔もピンク映画は低予算で作られるのが常です。それでも明治時代のパートは、それなりに見えるように作られています。若松監督は『千年の愉楽』において、昭和時代の田舎という設定であるにもかかわらず、エアコンの室外機が映っていても気にしない人でしたけどね。
時代が移って世代交代しても、呪われた血を継ぐ者たちを同じ役者(野上正義、山尾啓子)が演じています。呪われた血の濃さ、その血によって動かされる宿命を感じさせる配役です(単なる人件費抑制策かもしれませんが)。
日本の社会において血統によって運命を左右されるのは、在日外国人、被差別部落出身者、そして天皇および皇族です。本作が呪われた血統をテーマにしているのは、これらのタブー(特に天皇)への批判と捉えられ、多くの映画館から締め出しを食らったそうです。
若松監督が怒りの矛先を向けているのは、個人を抑圧する血統や家柄であり、それは絶滅させるべきものとしています(今や結婚したいという個人の意思を優先し、一時金を辞退してでも皇室から離脱する皇族もいますね)。この若松監督の問題意識は、本作以後も遺作となった『千年の愉楽』まで連なっているのです。
★★☆☆☆(2021年8月4日(水)DVD鑑賞)
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