どうも。東京都の若者向けワクチン接種会場が混雑したことによって、「若者はワクチン接種を拒否している」という言説は全くの嘘であると分かりました。おそらく「今どきの若いもんは……」とケチをつけて己が優位に立ちたいというジジイ&ババアのクソみたいな願望が生み出したデマでしょう。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ロッキー・ホラー・ショー タイムワープ・アゲイン』です。
嵐に遭ったカップルが逃げ込んだ城には変態博士がいて、彼が創造した人造人間を見せられる。2016年製作のテレビ用映画で、日本劇場未公開作品。監督はケニー・オルテガで、出演はラヴァーン・コックス、ヴィクトリア・ジャスティス、ライアン・マカータン、アダム・ランバート、クリスティーナ・ミリアン、ティム・カリー。
カルト的人気を集めたミュージカル映画『ロッキー・ホラー・ショー』のリメイク版です。オリジナル版で変態博士フランクン・フルター役を演じたティム・カリーが別の役で出演しています(カリーはテレビ版『IT』のペニーワイズ役も演じました。仕事選びのクセがすごいです)。
元振付師のケニー・オルテガが監督しているので、ミュージカルのシーンは出来が良くて楽しめます。しかし、オリジナル版を観ていると、物足りなさや違和感があることを否めません。
本作でフルター博士役を演じているラヴァーン・コックスは性転換済みのトランスジェンダー俳優です。豊胸手術も施されているので、コックスは体格の良い「女性」に見えてしまいます。オリジナル版でフルター博士役を演じたカリーの姿は明らかに「女装」であり、その変態性が社会に理解されないマイノリティーの悲哀を強調していました。
また他の出演者も奇抜な格好をしていますが、現代の感覚で見れば、割と普通の姿に見えてしまいます。オリジナル公開時(1975年)より社会のLGBTなどマイノリティーに対する理解が進んで浸透したからでしょう。
しかし、それでも社会のマイノリティーに対する差別や偏見は、まだ根強いものがあります。それにもかかわらず、「タイムワープ・アゲイン」というノスタルジックな感情が込められたサブタイトルには、現在進行形でもある問題を過去のものにする効果がありませんか。また本作の設定が映画館で上映されている映画というメタ構造になっていることには、現実に起こっている問題を虚構化する効果がありませんか。
これらが本作に対する物足りなさや違和感の原因になっているのです。
★★★☆☆(2021年7月31日(土)DVD鑑賞)
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