【映画評】アングスト 不安 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。他人の金メダルを無断でかじる名古屋市長は、市民からの抗議には「最大限の愛情表現」と開き直れても、トヨタ自動車の社長からの抗議には直接謝罪に行きます。どこを見て仕事をしているのでしょうか。この市長こそリコールに値します。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『アングスト 不安』です。

 

1980年にオーストリアで実際に起こった殺人鬼ベルナー・クニーセクによる一家惨殺事件を映画化した実録スリラー(映画.comより引用)。1983年製作のオーストリア映画で、2020年日本劇場公開作品。監督はジェラルド・カーグル、出演はアーウィン・レダー、シルヴィア・ラベンレイター、エディット・ロゼット、ルドルフ・ゲッツ。

 

公開当時、欧米で上映禁止になった問題作です。日本では1988年に『鮮血と絶叫のメロディ 引き裂かれた夜』というタイトルでビデオ発売されました。

 

ジェラルド・カーグルにとっては処女作にして唯一の長編監督作品です。全額自費で製作した本作が上映禁止になり、それによって生じた莫大な負債を抱えたカーグルは、それを返すために長編映画に取り組む余裕が無かったからでしょうか。それとも本作に対する激しい非難を浴びたことがトラウマになったからでしょうか。

 

殺人鬼Kを演じるアーウィン・レダーは、モデルとなったベルナー・クニーセクより華奢で神経質に見えます。これは事実に忠実であることより、観客への説得力を重視した映画的判断によるものでしょう。

 

Kは狂っています。本人は知能を駆使した完全犯罪のつもりですが、実際は杜撰で行き当たりばったりの蛮行です。それを斬新なカメラワーク、状況に合っていないBGM、ドラマ性を排除した冷たいトーンで演出しているので、映画そのものが狂っている印象を受けます。

 

狂人Kの理解不能な動機と雑な犯行計画によって、平穏な日常を壊され、生命を奪われた被害者一家の惨劇は、人が人を殺すこと(その最たるものが戦争)の理不尽さを胸糞悪いほどに見せつけてくるのです。

 

★★☆☆☆(2021年7月10日(土)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

 

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