どうも。東京五輪の記録映画を監督する河瀨直美が開催に向けてハイテンションになっています。ここで開催中止が決定し、そのショックで闇落ちした河瀨監督がダークで怨念のこもった五輪記録映画を作ったら面白いのになあ。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『富江アンリミテッド』です。
美しい姉・富江に負い目を感じていた女子高生の月子は、凄惨な事故で姉を亡くす。しかし1年後、死んだはずの富江が家に帰ってきたことから新たな恐怖の幕が上がる(映画.comより引用)。2011年公開作品。監督は井口昇で、出演は荒井萌、仲村みう、多田愛佳、大和田健介、駿河太郎、大堀こういち、川上麻衣子。
伊藤順二原作の恐怖漫画を実写映画化したシリーズ第8作。死んでも蘇る魔性の女、富江の名前は春日八郎のヒット曲『お富さん』に由来するそうです。
本作の富江役は仲村みうが演じています。過去のシリーズ作で菅野美穂や酒井美紀が演じた役です。彼女たちに比べれば、ルックスやサディスティックな演技については仲村の方が原作のイメージに近いです(現在、仲村はAV女優として活動しています)。
監督が井口昇、特殊造詣が西村喜廣という組み合わせなので、グロ描写が盛り沢山です。しかし、グロテスクでありながら笑える独特のセンスで作られています。このセンスはピーター・ジャクソンの傑作ゾンビ映画『ブレインデッド』に通じるものがあります。
脚本も担当している井口監督は、原作の基本設定に忠実でありながら、自分の撮りたいものを加えて作品を成立させています。主人公の月子(荒井萌)が写真好きという設定には、映画監督である井口が投影されており、本作では月子によって井口監督のオタク論が語られています。
オタク的な月子にないものを持っている富江は、月子の中にある非オタク的な部分の象徴であり、月子が認めたくない自分です。結局、月子は富江を受け入れて脱オタク化します。しかし、その結末は悲劇的です。
この展開から、オタクは脱オタク化することなく、オタクを貫いて生きるのが正しいと読み取れます。確かに井口はそう生きることによって才能を開花させ、映画監督になれましたからね。
★★★☆☆(2021年5月26日(水)インターネット配信動画で鑑賞)
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