どうも。昭和天皇の快癒を祈って自粛した国民が、コロナ退散を祈って自粛しているかのようです。日本は科学的思考ができないオカルト国家なのでしょうか。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『MEG ザ・モンスター』です。
人類未踏とされるマリアナ海溝をさらに超える深海が発見され、沖合に海洋研究所を構えた探査チームが最新の潜水艇で調査に乗り出す。幻想的な未知の生物が生きる深海の世界を発見し、心躍らせる一同だったが、その時、巨大な「何か」が襲いかかってくる。レスキューダイバーのジョナス・テイラーは、深海で身動きがとれなくなった探査チームの救助に向かうが、そこで200万年前に絶滅したとされる、体長23メートル、体重20トンにも及ぶ巨大ザメのメガロドンに遭遇する(映画.comより引用)。2018年日本公開作品。監督はジョン・タートルトーブで、出演はジェイソン・ステイサム、リー・ビンビン、レイン・ウィルソン、ルビー・ローズ、ウィンストン・チャオ、クリス・カーティス。
1975年に『ジョーズ』が大ヒットしてから、多くのB級サメ映画が作られてきました(「ジョーズ」や「シャーク」でネット検索すれば、山ほど見つかります)。その長い歴史を経て、『ジョーズ』の興行収入を抜き、サメ映画史上最高ヒットを記録したのが本作です。
本作はアメリカのワーナー・ブラザース・ピクチャーズと中国のグラヴィティ・ピクチャーズが中心になって製作した米中合作映画です。ワーナーにとってはアジアの映画マーケットを狙った世界戦略の一つです。日本では実写版『るろうに剣心』シリーズを製作し、配給しています。
物語の舞台は中国で、中国人キャストだけでなく、米国側のキャストも多数出演しています。主人公のジョナス・テイラー役はジェイソン・ステイサムです。彼がいることによってアクション映画として締まっており、幾多のB級サメ映画と一線を画しています。
キャストだけでなく、内容でもバランスに配慮しています。巨大ザメに襲われた中国人漁師たちは、生きたサメからヒレ(すなわち高級食材フカヒレ)だけ切り取る残酷な方法で密猟をしていました。中国側が自国の暗部を隠蔽も改竄もせずに描くのを許しています。
また潜水艦乗組員のトシ(マシ・オカ)には、愛妻家で仲間のためなら自己犠牲も辞さない日本人として良い見せ場が用意されています。中国が「反日国家」であるならば、あり得ない演出です。
以上のようにキャストや内容でバランスに配慮しているのは、本作を世界中でヒットさせるビジネス目的があるからでしょう。目的達成のためならば、ドライに割り切れる合理性が、中国を政治的にも経済的にも大きく成長させた一因ではないかと思わせる本作なのです。
★★★☆☆(2021年5月19日(水)DVD鑑賞)
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