どうも。「緊急事態宣言解除を前倒ししろ!」→感染拡大→「蔓延防止等重点措置をやれ!」って、大阪府知事の吉村洋文(と彼を支持する大阪府民)は自業自得を責任転嫁する迷惑なバカですね。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『黄線地帯』です。
麻薬組織に騙された殺し屋が偶然出会った踊り子を人質にして逃亡し、組織への復讐を図るサスペンス・アクション。1960年公開作品。監督は石井輝男で、出演は天知茂、吉田輝雄、三原葉子、三条魔子、大友純、沼田曜一、吉田昌代、鳴門洋一、若杉嘉津子。
石井輝男が新東宝時代に監督した作品です。タイトルの黄線地帯(イエローライン)とは、黄色人種すなわち日本人の娼婦が外国人相手に商売する赤線地帯のことだそうです。
犯罪者が女を人質にして逃亡するというプロットは、本作の1年前に公開された石井監督の『猛吹雪の死闘』と同じです。おそらく石井監督が好きなストーリーの型なのでしょう。
主な舞台は神戸ですが、実際のロケ地は横浜です。新東宝は東京を拠点にしているので、移動費などを節約したかったからでしょう。だからと言って、新東宝はケチではありません。スタジオ内に作られた黄線地帯の街並みは、猥雑な迷宮として丁寧に作られています。
殺し屋の衆木役を演じる天知茂のニヒルな格好良さ。衆木に囚われる踊り子のルミ役を演じる三原葉子の肉感的なセクシーさ。恋人ルミの行方を追う新聞記者の真山役を演じる吉田輝雄の爽やかさ。そこにクセがすごい脇役たちが絡みます。
渡辺宙明の音楽はシーンに合わせて、フラメンコ風、中東風、中華風と変化に富んでいます。迷宮のようなセットにクセがすごい登場人物と多国籍音楽で、映画が醸し出す雰囲気はカオス度を高めていきます。
本作の撮影で使用されたフィルムは質が悪かったのか、画面全体が暗くなっています。そのため、ルミが身に着ける衣装の赤色が強調されるという『天国と地獄』を先取りしたかのような効果を生んでいます。その画面の暗さは文字どおりのフィルム・ノワールであり、更に本作の無国籍なカオス度を高めているのです。
★★★☆☆(2021年3月16日(火)DVD鑑賞)
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