【映画評】眠狂四郎 女妖剣 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。番組降板を「卒業」と言うならば、新レギュラー加入は「入学」ですか?

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『眠狂四郎 女妖剣』です。

 

大奥の女中二人の水死体が上がった朝、眠狂四郎は鳥蔵という隠れキリシタンの飾り物職人の男から頼みを受ける。信徒たちが希望を託す聖女が浜松にいて危険な状態にある、その人を守ってほしいと言うのだ。自分には関係ないことだと断る狂四郎に鳥蔵は、その聖女・びるぜん志摩が狂四郎の出生の秘密を知っていると言う…(角川映画公式サイトより引用)。1964年公開作品。監督は池広一夫で、出演は市川雷蔵、藤村志保、久保菜穂子、根岸明美、春川ますみ、城健三朗、小林勝彦、中谷一郎、浜村純、阿井美千子。

 

柴田錬三郎原作のニヒルな剣士を市川雷蔵が演じる時代劇シリーズ第4作です。第1作『眠狂四郎 殺法帖』で城健三朗(若山富三郎)が演じた少林寺拳法使いの陳孫が再登場しています。

 

冒頭から後ろ姿ながらヌードで始まり、劇中でも当時の基準としては多めの脱ぎシーンがあります。狂四郎(市川)への刺客は色仕掛けで迫ってきます。エロみの強いアダルトな時代劇です。

 

立ち回りのシーンでは、狂四郎に斬られた者が鮮血を飛び散らします。当時としては強めのグロ描写です。正義漢ではなく、時には汚い手も辞さない狂四郎のキャラクターも含め、本作はマカロニウエスタンに近いものがあります。

 

これはパクリではなく、当時の世界的カウンターカルチャー・ムーブメントの影響でしょう。古いしきたりに縛られているイメージがありながら、柔軟に時代の波を取り入れるのが、時代劇というジャンルの強みです。

 

本作のクライマックスは、並みの時代劇ならば陳孫との対決シーンです。しかし、陳孫は狂四郎と決着をつけずに退場します。狂四郎の前に立つのは、びるぜん志摩(久保菜穂子)が語る狂四郎の出生の秘密です。自分との内面的かつ精神的な対決をクライマックスに持ってくるのは、娯楽作としては異色です(テレビ版『新世紀エヴァンゲリオン』のようでもあります)。時代劇とは思いのほか自由なものなのです。

 

★★★☆☆(2021年3月10日(水)DVD鑑賞)

 

 

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