どうも。開閉会式演出家の辞任、海外からの観客受け入れ見送りと、徐々に東京五輪パラリンピック中止へと流れているような気がします。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『レポゼッション・メン』です。
高価な人工臓器の開発によって、より寿命が長くなった近未来。人工臓器の支払能力がなくなった人間への取り立て(レポメン)で生計を立てていたレミーは、ある日、取り立てに失敗し、重傷を負ってしまう。傷は癒え、職場復帰を果たすが、以前のように仕事が出来なくなったレミーは、自分が生きてきた社会に疑問を感じ、かつての同僚と戦うことを決意する(映画.comより引用)。2010年日本公開作品。監督はミゲル・サポチニクで、出演はジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカー、リーヴ・シュレイバー、アリシー・ブラガ、カリス・ファン・ハウテン。
本作はジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカーのメジャー俳優を揃えながらも、興行的に失敗した作品です。どうしたものでしょう。
時代設定を近未来にした本作では、東洋と西洋が折衷した無国籍な街並みがデザインされています。ここにも『ブレードランナー』の呪縛があります。同作以後、この呪縛から脱した作品があったでしょうか。
本作は近未来SFの形で現代アメリカを描いています。人工臓器の支払能力がなくなった人間から臓器を取り立てるのは、サブプライム・ローン問題で債権回収のために低所得者から住宅を取り上げたのと重なります。部位によって人工臓器の価格が変わるのは、治療部位(人差し指か薬指か)で治療代が変わるアメリカの医療制度と同じです。そして人工臓器を取り上げる=命を奪うことが金になるシステムの究極は戦争ビジネスです。何やらマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画に通じます。
原作者のエリック・ガルシアが脚本に参加しているので、こうした知的要素が盛り込まれたのでしょう。それがあるおかげで、派手さのない展開ながら観ることができます。しかし、終盤で不自然で強引な展開になっていきます。気になっていると、ラストで「あのオチ」だと気付きます。良く言えば『未来世紀ブラジル』みたいなオチですが、B級映画にありがちなオチです。
思うに、本作が興行的に失敗したのは、理屈っぽい大風呂敷を広げた割に収集がつかなくなったように見えたからでしょう。
★★☆☆☆(2021年3月4日(木)DVD鑑賞)
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