どうも。災害時に陰謀論デマ(人工地震)やヘイトスピーチ(朝鮮人差別)をSNSで吐き散らかす、ゴミ虫人間を駆除できない民度の国でオリンピック開催は無理です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『果てしなき情熱』です。
苦悩して酒に溺れる作曲家と、彼を献身的に愛する女給の関係を描く歌謡メロドラマ。1949年公開作品。監督は市川崑で、出演は堀雄二、月丘千秋、笠置シヅ子、折原啓子、清川虹子、江見俊太郎、斎藤達雄、鮎川渉、山口淑子、淡谷のり子。
市川崑が新東宝在籍時に監督した歌謡映画です。笠置シヅ子、山口淑子、淡谷のり子がステージで歌声を披露します。市川作品で、これほど歌唱シーンがあるのは思い当たらないほど珍しいです。
“ブギの女王”笠置と“ブルースの女王”淡谷が出演するのは、言わばクイーン競演です。笠置は歌だけでなく、関西弁でコメディエンヌ演技も見せています。
主人公の三木(堀雄二)は天才作曲家でありながら、酒浸りで他人に迷惑をかける甘ったれたクズとして描かれています。その上、暴漢に襲われる片思いの女、優子(折原啓子)を守るため、暴漢を返り討ちして刑務所に一年間服役します。
本作では、全編に服部良一の楽曲が使用されています。そのうち、劇中で三木が作曲した(という設定の)楽曲も含まれ、服部と三木を同一人物だと誤解する観客が現れるおそれがあったのでしょう。服部がクズだと思われると困るので、本作の冒頭には「服部良一の半生記ではない」という旨の但書きが表示されます。
女給しん(月丘千秋)の献身的な愛を受けながら、優子を忘れられない三木は苦悩し、荒んだ生活を送り続けます。凡人である私には理解できませんが、天才的な芸術家が非常識な社会不適応者であるのは、ありがちな話です(あくまで「天才だから非常識」であって「非常識だから天才」ではありません。それを勘違いして、奇行に走る目立ちたがり屋のバカもいるので困りものです)。
三木から音楽的才能を奪うと、女に依存しなければ社会生活を送れないダメ男になります。そうした弱い男を主人公にするのは、市川作品らしいと言えるのです。
★★★☆☆(2021年1月29日(金)DVD鑑賞)
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