【映画評】九ちゃんのでっかい夢 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。夜の街にいる若者は遊んでいる者ばかりでなく、飲食店アルバイトで働いている者もいます。貯蓄や年金がある中高年と違い、働かなければ生活できないのです。それを新型コロナウィルス感染拡大の原因として敵視するのは、どうなのでしょうね。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『九ちゃんのでっかい夢』です。

 

がん宣告を受け、失意のどん底にある駆け出しのコメディアンが海外の大富豪の遺産相続人になり、殺し屋に命を狙われることになる。1967年公開作品。監督は山田洋次で、出演は坂本九、倍賞千恵子、竹脇無我、ジェリー藤尾、九重佑三子、谷幹一、佐山俊二、E・H・エリック、てんぷくトリオ、桜井センリ、石橋エータロー、犬塚弘、有島一郎。

 

山田洋次監督&坂本九主演の喜劇です。当時の山田監督は『馬鹿まるだし』からハナ肇主演作を撮り続けている時期であり、本作にもクレージーキャッツの桜井センリ、石橋エータロー、犬塚弘が出演しています。

 

主演の坂本は本業の歌だけでなく、パントマイム、てんぷくトリオ(三波伸介、伊東四朗、戸塚睦夫)とのコント、ダンスまで見せる芸達者ぶりを発揮しています。スターと呼ばれるためには、そこまで出来ないといけないのですね。

 

劇中で坂本が芸を見せる時、ステージを正面から固定ショットで撮っています。このようなステージ演出は山田作品において珍しいことです(シネマ歌舞伎の場合を除けば)。

 

坂本や共演している喜劇役者たちの演技は面白いのですが、ストーリーが荒唐無稽過ぎ、展開に強引さを感じます。海外の大富豪の遺産相続という要素を活かすならば、もっとモダンでバタ臭くあればいいところを、坂本がいる劇場は時代物の大衆演劇を上演しているので、雰囲気が嚙み合っていません。それで荒唐無稽が際立ち、それを無理にまとめようとするから強引さが出ます。

 

それだけでなく、坂本が演じるキャラクターは山田作品(特に喜劇)向きではないのもマイナスです。「馬鹿」三部作のハナや「男はつらいよ」シリーズの渥美清が演じた、周囲に迷惑をかける破天荒な主人公が山田喜劇向きです。それに比べ、本作で坂本が演じた役は主人公として大人しく、山田監督らしさが十分に出なかったように思うのです。

 

★★☆☆☆(2020年12月24日(木)DVD鑑賞)

 

 

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