どうも。多くの国民が政治に物申さないのは、学校時代に培った権威主義的パーソナリティーに一因があります。大人になっても、先生に従順である習慣から脱却できないのです。手始めに政治家を先生と呼ぶバカな風習を止めるのが良いでしょう。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『マッチ売りの少女』です。
寒い大晦日の夜、街頭でマッチを売っている貧しい少女が凍え死ぬ前に見る夢。1928年製作のフランス映画で、日本劇場公開年は不明。監督はジャン・ルノワールで、出演はカトリーヌ・エスラン、ジャン・ストルム。
有名なアンデルセン童話を実写化した白黒サイレント映画です。監督のジャン・ルノワールは、後に『大いなる幻影』や『フレンチ・カンカン』などの名作を世に送り出しました。ちなみに彼の父は画家のピエール=オーギュスト・ルノワールです。
少女役のカトリーヌ・エスランは全く少女に見えません。それもそのはずで、エスランはルノワール監督の妻であり、当時28歳でしたから。まあ、『天河伝説殺人事件』の回想シーンでセーラー服姿になった岸恵子(当時59歳)に比べれば、許される範囲です。
雪が降る街を舞台にして、出演者の衣装を暗い色に統一しています。色のコントラストが明瞭になる、白黒映画の利点を活かしたデザインです。
疲労した少女がマッチを擦ると、夢の世界に入っていきます。その夢の世界は、さっきまで少女が観ていた玩具店のショーウィンドウで、少女は人形たちと戯れる時間を過ごします。この人形たちの動作は、幼子ならばトラウマになりかねないほど不気味です。
夢の世界にいる少女を死神が迎えに来ます。死神から逃れるため、玩具の兵隊(ジャン・ストルム)と馬に乗って駆ける少女。それを馬に乗って追いかける死神。このチェイスシーンにはスピード感があります。
物語の結末は、皆さんが御存知のとおりです。本作は悲しい現実→楽しい夢の世界→悲しい結末というメリハリのある展開を30分程度にまとめています。そして、特に力を入れているのは夢の世界ですが、私には不気味に見えてしまうのです。
★★☆☆☆(2020年12月18日(金)インターネット配信動画で鑑賞)
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