どうも。「大統領選は不正選挙だ」と頑なに主張するトランプ大統領とその支持者たちは、「私はやってない。潔白だ」と戯言を吐き続けた麻原彰晃とオウム真理教信者たちにそっくりですね。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ザ・エージェント』です。
理想主義者のスポーツ・エージェントのジェリーは会社を解雇され、ただ1人共感してくれた会計係のドロシーと独立する。ジェリーはクライアントの落ち目のフットボール選手とドロシーと共に、紆余曲折を経て成功を勝ち取る(映画.comより引用)。1997年日本公開作品。監督はキャメロン・クロウで、出演はトム・クルーズ、キューバ・グッティングJr.、レネー・ゼルウィガー、ケリー・プレストン、ジュリー・オコンネル、ジェイ・モーア、ボニー・ハント、レジーナ・キング。
主人公の名前である「Jerry Maguire」を用いた原題は、日本のテレビドラマ『半沢直樹』と同じ方法です。その原題が主人公の職業である『ザ・エージェント』という邦題になるのは、『半沢直樹』がアメリカに紹介される場合に『The Banker(ザ・バンカー)』という題名になるようなものです。
近年では「M:i(ミッション・インポッシブル)」シリーズでアクション俳優化しているトム・クルーズですが、本作では体を張らない演技を見せています。元は『レインマン』や『7月4日に生まれて』で演技力を評価されたトムなので、当たり前のことですが。
トムが演じるジェリーは会社をクビになり、ほぼゼロの状態から再起します。そこで様々な困難にぶつかり、自分の弱い部分を見せてしまいます。このトムの演技は、自分を強く見せなければならないアクション映画で見ることはできません。
スポーツ・エージェントに限らず、あらゆる仕事上の駆け引きは、強気な押しの一手で成功することがあります。しかし、ビジネスを離れた人間関係は、強い部分だけでなく、弱い部分も曝け出さなければ、本当の信頼を得られません。
ジェリーは会計係のドロシー(レネー・ゼルウィガー)、クライアントのロッド(キューバ・グッティングJr.)と内に秘めた思いを曝け出す言葉の応酬を通じて、互いの信頼を深めていきます。やがてドロシーはジェリーと結ばれ、ロッドはフットボール選手として成功を収めます。
近頃のSNS上では、一方的に相手より優位に立ちたいがための、みっともない言葉が飛び交っています。匿名の誹謗中傷は、自分は無傷で相手を傷付けたいという汚ない欲望に基づく、最低最悪の言葉(というより汚物)です。こうした言葉で生まれるのは相互の信頼関係ではなく、相互の分断です。分断だらけの社会は弱体化し、壊れていきます。
男と女(ジェリーとドロシー)、白人と黒人(ジェリーとロッド)を分断せず、対話によって融和してくのがアメリカのあるべき姿なのだろうと、本作を観て感じ取ったのです。
★★★☆☆(2020年11月25日(水)DVD鑑賞)
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