どうも。この期に及んで菅義偉内閣を支持する約半数の国民は、自分や身内が新型コロナウィルスに感染しなければ分からないのでしょうか。空襲で焼け野原にされ、原爆を二発落とされてから、やっと戦争を止めたボンクラの末裔ですから。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『アンチポルノ』です。
小説家兼アーティストとしてブレイクした京子は、極彩色の部屋に籠もり、マネージャーの典子から知らされるスケジュールを分刻みでこなす毎日を送っていた。次第に虚構と現実の境が曖昧になっていく中、京子の意外な過去が暴かれていく(映画.comより引用)。2017年公開作品。監督は園子温で、出演は冨手麻妙、筒井真理子、不二子、小谷早弥花、吉牟田眞奈、麻美、下村愛、福田愛美、貴山侑哉。
日活ロマンポルノ45周年記念企画「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の一作です。日活ロマンポルノに思い入れのない園子温が監督し、独特の世界を描いています。
現実だと思っていた世界が虚構(映画の撮影現場)だったりする転換が繰り返され、その度に演じる役柄も180度変化します。京子役の冨手麻妙も、典子役の筒井真理子も、その変化に対応した演技を見せます。筒井は五十路ヌードになってまで熱演しています。
京子は何が現実か分からなくなるほど、虚構の世界を巡っていきます。冒頭の国会議事堂も、劇中のニュース映像(安保法制反対デモ)も虚構であるかのように見えてきます。虚構の地獄巡りを続ける京子は出口を探そうとして苦しみます。しかし、出口は見つかりません。
小便と糞は出ないが嘔吐する京子、瓶に閉じ込められたトカゲ、デモをやっても変わらない日本の政治は「出口がない」という点で繋がっています。ポルノは肉体的または精神的な発散を目的とするので、出口のなさ=もやもやとした閉塞感を表現した本作は、正にアンチポルノなのです。
★★★☆☆(2020年11月23日(木)インターネット配信動画で鑑賞)
にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)