【映画評】情炎 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。「給料は下がったけど、携帯料金が安くなったので菅総理を支持します!」と言う人がいたら、「朝三暮四」の故事を読ませて「あんた、このサルだよ」と教えてあげたいです。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『情炎』です。

 

愛人がいた亡き母を嫌悪しながらも、母の愛人と不倫関係になっていく社長夫人の愛欲。1967年公開作品。監督は吉田喜重で、出演は岡田茉莉子、高橋悦史、菅野忠彦、南美江、しめぎしがこ、木村功。

 

吉田喜重監督&岡田茉莉子主演のメロドラマ。松竹ヌーヴェルヴァーグと呼ばれた吉田は岡田と、大島渚は小山明子と、篠田正浩は岩下志麻と夫婦になっています。夫が松竹から独立し、フリーになっても映画作りが出来たのは、女優である妻の支えがあったからでしょう。

 

文学座の協力を得ているので、織子(岡田)の夫である隆志(菅野忠彦)の愛人役を太地喜和子が、織子を取り調べる刑事役を江守徹が演じています。小野武彦も出演していますが、どこに出ているか分かりませんでした。

 

ストーリーはメロドラマであっても、演出や撮影技法にこだわりがあるので、平凡な印象にはなっていません。特に構図にこだわる吉田監督はカメラを固定して撮影することが多いのですが、本作では岡田の表情を多角的に捉えたかったのか、珍しくカメラを動かして撮影するシーンがありました。

 

亡母(南美江)の生き方を嫌悪しながらも、織子は母の愛人(木村功)を愛してしまいます。社長夫人という経済的・社会的地位を捨ててでも、己の欲望や情念を優先する織子の行動には、理屈を超えた凄みがあります。

 

そして、織子は隆志に対して自分から離婚を切り出します。本作公開当時では、離婚の主導権も愛人を囲うことも男性の特権(?)だったことから、本作のテーマは男女同権だと思えてくるのです。

 

★★☆☆☆(2020年10月8日(木)DVD鑑賞)

 

 

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