どうも。10億円の予算を付けた日本学術会議のあり方を検討するならば、予算466億円のアベノマスク配布も約2000億円の米軍基地思いやり予算も、前例を打破して厳しく検討して欲しいものです。どうせ出来やしないのでしょう、自民党は。愚かな大衆の学問コンプレックスを利用して、学者叩きで支持率を上げたい菅首相を擁護したいだけですから。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『洲崎パラダイス 赤信号』です。
東京洲崎遊廓の入口の飲み屋を中心にして、娼婦や、そこに出入りする男たちの姿を描く(映画.comより引用)。1956年公開作品。監督は川島雄三で、出演は三橋達也、新珠三千代、芦川いづみ、牧真介、桂典子、植村謙二郎、小沢昭一、轟夕起子、河津清三郎。
『幕末太陽傳』の川島雄三が監督を務めています。同作が遊廓を舞台にした「廓噺(くるわばなし)」であり、本作は現代版廓噺です(遊廓に入らず、その手前を舞台にした物語ですが)。
売春防止法施行が1957年なので、本作は「赤線地帯」末期だった洲崎で実際にロケーション撮影しています。教科書には載らない貴重な昭和の記録です。
三橋達也が頼りない夫を、新珠三千代がしっかり者の妻を演じています。前者は意外な役どころです。蕎麦屋の店員役で芦川いづみ、小沢昭一が出演しています。彼女らを見ると、本作が日活映画だと思わされます。
本作は猥雑で世俗的な庶民のドラマです。本作の助監督である今村昌平が、後に猥雑で世俗的な庶民のドラマを数多く作り出したのは、本作を始めとする川島作品からの影響を受けたからとも言えます。
本作で主に描かれているのは、男と女のすれ違いです。洲崎に辿り着いた夫婦の心は徐々に離れていきます。やがて別々に生活する二人が思い直して再会しようにも、行く先々ですれ違って会うことができません。このすれ違いの妙が本作の見所です。
やっと再会できた夫婦は洲崎を離れ、何処かへ行こうと橋の上で思案します。物語の冒頭も橋の上からであり、二人は最初に戻ったということです。すれ違いながらも、またくっつくのを何度も繰り返すというのが人生なのでしょうか。
★★★☆☆(2020年10月3日(水)インターネット配信動画で鑑賞)
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