どうも。教育予算の割合を増やさず、大学への助成金を減らし、学者をバッシングしておきながら、ノーベル賞は欲しいだなんて、虫が良すぎるというか、図々しいというか、厚かましいというか、まあバカなのでしょうな。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『原子怪獣現わる』です。
北極圏の水爆実験で目覚めた太古の恐竜が、南下してニューヨークに上陸して大暴れする怪獣映画。1954年日本公開作品。監督はユージン・ルーリーで、出演はポール・クリスチャン、ポーラ・レイモンド、セシル・ケラウェイ、ケネス・トビー、ドナルド・ウッズ、ジャック・ペニック、リー・ヴァン・クリーフ、スティーヴ・ブロディ、ロス・エリオット。
日本の『ゴジラ』に影響を与えた元祖怪獣映画です。レイ・ブラッドベリの原作小説が1951年に発表され、本作が1953年にアメリカで公開され、『ゴジラ』が1954年に日本で公開されたという順序です。
怪獣を生む原因となる水爆実験を北極圏にしたことによって、ニューヨーク上陸までの移動が自然になります。ローランド・エメリッヒ監督版『GODZILLA』では、水爆実験を南太平洋にしたので、怪獣が物凄く遠回りをしてニューヨークに上陸するという不自然さを生じさせています。
その『GODZILLA』における怪獣のビジュアルやサイズは、ゴジラより本作の怪獣に近いです。同作のプロデューサーであるディーン・デブリンは、『ゴジラ』より本作を意識して製作したことを公言しているので、そうなって当たり前です。本作をリメイクするため、ビジネス上の理由で「ゴジラ」を名乗ったから、『GODZILLA』はゴジラ愛を欠く駄作になりました。
本作から影響を受けた『ゴジラ』は、円谷英二の着ぐるみ特撮によってレイ・ハリーハウゼンのストップモーション・アニメとは異なる怪獣の動きを創造しました。その上、被爆国日本ならではの視点をストーリーに入れることによって深みを持たせました。こうしたオリジナリティーのおかげで、『ゴジラ』シリーズは海外にも少なからずファンがいます。
本作の場合、怪獣を目撃した主人公トム(ポール・クリスチャン)は、その話を誰にも信じてもらえず、精神異常者扱いされます。ところがトムの話どおりに実在した怪獣は、ニューヨークの街で大暴れして甚大な被害をもたらします。これは旧約聖書における『ノアの箱舟』の応用であり、怪獣を災厄の象徴とする点で『ゴジラ』とも共通しているのです。
★★★☆☆(2020年9月26日(土)DVD鑑賞)
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