どうも。「菅総理ってパンケーキ好きな令和のおじさんでしょ? かわいい! 応援しちゃう!」とかコメントしている若い女性タレントは、もし総理大臣と国会議員の肩書を失った菅が近くに寄って来れば、「何だよ? おっさんキモい! こっち来るな!」と罵詈雑言を浴びせるでしょう。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ボディ・スナッチャーズ』です。
従軍研究者である父について弟と共に基地に移住した孤独な少女は若い下士官に恋をする。彼女の友人のアル中の母をはじめ、次々と周囲の人間の様子に異変が生じる。下士官と共に真相を探る少女は、宇宙生物によって基地が乗っ取られつつあるのに気づく……(Yahoo!映画より引用)。1993年製作のアメリカ映画で、日本劇場未公開作品。監督はアベル・フェラーラで、出演はガブリエル・アンウォー、テリー・キニー、ビリー・ワース、フォレスト・ウィテカー、メグ・ティリー。
『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』『SF/ボディ・スナッチャー』に次ぐ、SF小説『盗まれた街』の3度目の映画化作品です。『SF/ボディ・スナッチャー』が日本劇場公開されたにもかかわらず、本作が未公開ということは……その程度の出来であることを推して知るべきです。
『フルメタル・ジャケット』でイカレた教官役を演じていたR・リー・アーメイが、本作でも軍人役を演じています。役柄上、感情の無い役なので、彼の持ち味は活かされていません。
巨大マリモのような宇宙生物から細長い触手が伸び、人間から養分を吸い取り、クローンを作り出して、本人と入れ替わります。このSFXシーンはグロくて良いです。
主人公(ガブリエル・アンウォー)が住民の異常に気付き、基地から脱出するまでの逃走劇には緊張感があります。まだCG合成が進んでいない頃の作品なので、爆破シーンの迫力は生々しいです。
しかし、そういった見所に到達するまでの時間が長過ぎるのが残念です。本作が日本で劇場公開に至らなかったのは、そこに理由があるのかもしれません。
ある人の外見がそのままで、中身が別人に入れ替わっているという設定は、新しい思想や価値観、特に共産主義が拡散して浸透していく状況の暗喩です。原作の『盗まれた街』が発表された頃、アメリカには共産主義者を排斥する「赤狩り(レッドパージ)」の嵐が吹き荒れていたという時代背景があります。また本作が公開された前年に、戦後生まれのビル・クリントン大統領が就任し、中道左派の彼は保守派から共産主義者呼ばわりされていたという事実があります。
本作において、人間と入れ替わった宇宙生物が「我々は個人より種族を大事にする」と口にします。種族を集団や社会に置き換えれば、まるで宇宙生物が個人の自由を圧殺する共産主義者のようです。本作はB級SF映画のようでありながら、原作や映画製作時の時代背景を踏まえています。
そして、宇宙生物が人間と入れ替わろうとするのは、人間が眠っている間であるという設定にもメッセージ性があります。それは政治や社会の危機が迫っているのに、惰眠を貪って無関心であってはならないということです。
★★☆☆☆(2020年9月10日(木)DVD鑑賞)
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