どうも。「ステイ」とか「ホーム」とか「GO(TO)」とか、政府は国民を犬扱いするのですか。日本は国民主権ですから、国民が飼い主であり、国民に奉仕する政治家が犬です。勘違いして思い上がってんじゃねえよ!
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『嵐を呼ぶ十八人』です。
広島・呉の造船所を舞台に、社外工の寮監と18人の寮生の交流を描く青春ドラマ。1963年公開作品。監督は吉田喜重で、出演は早川保、香山美子、根岸明美、三原葉子、中村芳子、浦辺粂子、浪花千栄子、芦屋雁之助、平尾昌晃、殿山泰司。
『この世界の片隅に』の設定から約20年後の広島県呉市が描かれています。広島市の原爆ドームも広島市民球場も広島東洋カープも出てきます。
寮監の島崎役を演じる早川保が、博多華丸に似ているのが気になります。寮生たちは18人もいるので、顔を覚えられませんでした。
島崎も寮生たちも社外工です。社外工は今で言うところの非正規労働者であり、会社からの扱いは現代の労働問題にも通じるものがあります。
島崎が寮監を引き受けたのは、会社からの借金を帳消しにするためです。それ故、札付きの悪ガキが揃った寮生たちを教育して更生させようとする情熱はありません。そのような態度の寮監なので、寮生たちが成長して真面目になることはありません。次の働き場所である北九州に向かう列車内で寮生たちがバカ騒ぎするラストは、それを表しています。
これは、教師(的な存在)の情熱的指導によって教え子たちが成長して更生するという当時の社会派映画にありがちな展開に対するアンチテーゼになっています。映画という虚構と違い、現実はそれほど甘くないという批判です。
この醒めたスタンスは、吉田喜重監督の演出にも表れています。作品全体に引きの画が多いのは、島崎と寮生たちの関係を客観的に見ているからです。自分の立場や主張を登場人物に言わせるのではなく、撮り方で表現する吉田監督は知的でクールなのです。
★★★☆☆(2020年6月29日(月)DVD鑑賞)
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