【映画評】制服処女のいたみ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。民間宇宙船打ち上げに喜ぶ大統領も、ブルーインパルス飛行に喜ぶ総理大臣も、飛翔体発射して喜ぶ独裁者と同じレベルの生き物です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『制服処女のいたみ』です。

 

女子高生マリが親友の栄美をレイプした男たちに復讐する日活ロマンポルノ。1981年公開作品。監督は渡辺護で、出演は美保純、織田倭歌、杉佳代子、島村謙次、本間窓奈、田島敦、武藤樹一郎、下元史朗。

 

美保純のデビュー作です。本作の翌年に『ピンクのカーテン』でブレイクし、『男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎』からタコ社長の娘あけみ役でレギュラー出演した美保は、ロマンポルノ出身女優の出世頭と言えます。

 

ところで、ジョージ秋山原作の『ピンクのカーテン』で売れた美保が、同じ原作者で2014年に公開された『捨てがたき人々』に出演したのは、里帰りみたいなものでしょうか。ジョージ秋山さんのご冥福をお祈り致します。

 

本作の内容に入りましょう。冒頭では、女子高生のマリ(美保)と栄美(織田倭歌)が制服姿で新宿の歌舞伎町を歩きます。映画館の絵看板など撮影当時の街並みが映っており、貴重な映像記録になっています。

 

マリと栄美は親に内緒でディスコへ行きます。そこでマリがディスコクィーンになるシーンと、栄美が男たちにトイレでレイプされるシーンをクロスカッティング編集で交互に見せます。陽と陰の対照的なシーンを効果的に見せる手法です。

 

テンガロンハットを被ったマリが踊る曲は、スペクトラムの『サンライズ』です。これはプロレスラー、スタン・ハンセンの入場曲として有名です。テキサス州出身でカウボーイのキャラクターだった、ハンセンもテンガロンハットがトレードマークでした。それでは、本作がハンセンの人気に便乗したかと思えば、そうではありません。ハンセンの入場曲が『サンライズ』になったのは、全日本プロレスに移籍した1982年からであり、本作公開より後のことだからです。思い切って言えば、本作の方がオリジナルです。

 

与太話は止めて、本作のストーリーに話を戻しましょう。マリが主人公でありながら、栄美やマリの母(杉佳代子)の濡れ場が先行するので、期待した観客は焦らされます。やっとマリの処女喪失シーンが終わると、マリと栄美が男たちに復讐します。剃刀で顔を切りつけ、橋の上から線路に落とそうとするので、これは殺害したという意味でしょう。

 

女子高生二人組による殺人という事の重大さに対し、マリが夜の公園でノリノリになって踊るシーンで映画は突然終ります。これは脚本の小水一男が投げやりになったのか、それとも意図的に狙ったのか、非常に悩むエンディングなのです。

 

★★☆☆☆(2020年5月27日(水)インターネット配信動画で鑑賞)

 

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