どうも。『テラスハウス』の演出を真に受けたバカが、SNSで執拗な誹謗中傷を繰り返したことにより、女子プロレスラー木村花が死に追い込まれました。日本人の低レベルな民度では、リアリティーショーを楽しむには百年早いのです。『テラスハウス』は早々に打ち切り、類似番組の企画も向こう百年間は禁止しないと、また人命が失われますよ。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『猿の惑星:聖戦記』です。
高度な知能を得た猿と人類が全面戦争に突入してから2年。猿たちを率いるシーザーは森の奥深くの砦に身を潜めていたが、ある晩、人間たちの奇襲を受けて妻と長男の命を奪われてしまう。敵の冷酷非道なリーダー、大佐への復讐を誓ったシーザーは仲間たちを新しい隠れ場所へ向かわせ、自らは3匹の仲間を連れて大佐を倒す旅に出る。道中で出会った口のきけない人間の少女ノバや動物園出身のチンパンジー、バッド・エイプも加わり、一行はついに大佐のいる人間たちの基地にたどり着くが……(映画.comより引用)。2017年日本公開作品。監督はマット・リーヴスで、出演はアンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、スティーヴ・ザーン、アミア・ミラー。
SF映画の名作『猿の惑星』をリブートした『猿の惑星:創世記』『猿の惑星:新世紀』に続く、シリーズ三部作の最終作です。高度な知能を得たチンパンジーのシーザー(アンディ・サーキス)が主人公の物語です。
旧作の『猿の惑星』が特殊メイクによって猿の役に扮したのに対し、新シリーズ三部作はVFXによって猿の役に扮しています。顔の表情や毛並みに至るまでリアリティーはあります。しかし、三作も観ているので驚きは薄れ、飽きてきました。
人間たちと戦いながら、群れを率いるリーダーとしてシーザーは苦悩や葛藤を抱えます。シーザーの内面にある弱さは、前作で殺めてしまったコバの幻影となって目の前に現れます。シーザーは実に人間的なのです。
本作では、アメリカにおける戦争の歴史や記憶が散りばめられています。冒頭の森林での戦闘、そして米軍から反乱分子と看做される狂気の大佐(ウディ・ハレルソン)が『地獄の黙示録』のカーツ大佐と重なるのは、ベトナム戦争です。シーザーと大佐が各々の仲間を守るための戦いを「聖戦」と呼ぶのは、イラク戦争です。妻子を殺されたシーザーが銃を担いで馬に乗って荒野を進むのは、西部劇で描かれた原住民との戦いです。捕まった猿たちが大佐の基地で強制労働させられる姿は黒人奴隷と重なり、その解放のための戦いは南北戦争です。原題(WAR FOR THE PLANET OF THE APES)に「WAR」とあるとおり、様々な戦争が詰め込まれています。
シーザーは人間が開発したウィルスによって高度な知能を得ました。そのウィルスは世界中に蔓延し、多くの人命を奪っただけでなく、本作において変異を生じ、人間から言葉と理性を失わせて退化させる恐ろしいものになります。自然を捻じ曲げた人類が、自然に復讐されます。
猿と人類の戦いは、自然の脅威によって決着が付きます。愚かな人類が自然によって粛清されるという流れに沿っていますが、最終作だから強引に幕引きしたようにも思えて、少し残念な気がするのです。
★★★☆☆(2020年5月13日(水)DVD鑑賞)
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