【映画評】女番長 野良猫ロック | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。新型コロナウィルスの感染源となる①重症化しやすい高齢者が②不特定多数で集まる③閉鎖的空間は、ライブハウスでもスポーツジムでもなく、パチンコ店なのに規制の対象になっていないのは不思議です。ちなみにパチンコ利権には自民党がガッツリと絡んでいます(パチンコチェーンストア協会の政治分野アドバイザーにおける議員構成を参照)。パチンコ利権と聞けば、「野党がー」とか「韓国がー」とか言うのは脳内の情報が30年ほどアップデートされていないアホな怠け者です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『女番長 野良猫ロック』です。

 

新宿を舞台に女たちのグループ抗争の真っ只中でやくざ組織を相手に暴れ回る女番長・アコの活躍を描く(日活ホームページより引用)。1970年公開作品。監督は長谷部安春で、出演は和田アキ子、梶芽衣子、和田浩治、藤竜也、ケン・サンダース、范文雀、久万里由香、睦五郎、中丸忠雄。

 

『野良猫ロック』シリーズの第1作です。製作がホリ企画(ホリプロ)なので、所属歌手の和田アキ子が映画初主演しています。当時の和田は、演技に関しては素人なので、大阪時代に名を轟かせた「ミナミのアッコ」をドキュメント的に撮影したのでしょう。ライブハウスのステージで歌唱するシーンがあり、そこでは本業である「和製R&Bの女王」になっています。

 

劇中のライブハウスには、当時ホリプロ所属だったザ・モップス、オリーブ、オックス、アンドレ・カンドレ(後の井上陽水)が特別出演しています。この中で最もロックだったのはザ・モップスでした。ザ・モップスのヴォーカルは鈴木ヒロミツです。まさか鈴木ヒロミツを見てカッコイイと思う日が来るとは驚きです。

 

日活映画なので、当時所属していた梶芽衣子と藤竜也が若々しく出演しています。特に梶は、東映に移ってからの『女囚さそり』シリーズで見せるクールな凄味の域に達していません。

 

1970年当時は、アメリカのバイカー集団ヘルズ・エンジェルスや映画『イージー・ライダー』の影響があり、不良=バイカーというイメージだったのでしょう。本作より先に、東映でバイカー集団を主人公とする『不良番長』が作られています。同作と本作を比べてみれば、本作の方がクールな印象を受けます。これは東映と日活の社風の違いから来るのでしょう。

 

思えば、テレビドラマ『スクール☆ウォーズ』では、“不良番長”梅宮辰夫と“女番長”和田が夫婦役だったのですから、凄いことです。最強の夫婦です。それを意図したキャスティングだったのでしょうか。

 

本作は屋外ロケのシーンが多く、当時の新宿の街並みが記録されています。更に、その新宿の地下街や歩道橋をバイクやバギーで走り回るという今なら実現困難なアクションも記録されています。

 

劇中の不良たちは自由を愛する反体制的な若者として描かれ、敵対するヤクザ組織が右翼団体を偽装していることから、左右対立の構図が根底にあります。その戦いの果ては、どちらか一方が勝利するという単純明快なものではなく、双方とも破滅に向かうものです。その結末はアメリカン・ニューシネマのようであり、勝利のカタルシスとは異なる後味を残すのです。

 

★★★☆☆(2020年2月15日(土)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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