どうも。ロンドン市長選挙の候補者が、新型コロナウィルスの影響で東京五輪が中止になった場合、代替地として引き受ける旨の発言をしました。これに小池百合子東京都知事は不満の意を表明しています。しかし、マラソンと競歩の競技会場が札幌に移った経緯を見れば、都知事のプンプン膨れっ面はIOCに対して効果ゼロでしょうね。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『夜は短し歩けよ乙女』です。
所属クラブの後輩である「黒髪の乙女」に恋心を抱く大学生の「先輩」は、「なるべく彼女の目に留まる」ことを目的とした「ナカメ作戦」を実行する日々を送っていた。個性豊かな仲間が巻き起こす珍事件に巻き込まれながら季節はめぐっていくが、黒髪の乙女との関係は外堀を埋めるばかりでなかなか進展せず……(映画.comより引用)。2017年公開作品。監督は湯浅政明で、声の出演は星野源、花澤香菜、神谷浩史、秋山竜次、中井和哉、甲斐田裕子、吉野裕行、新妻聖子、諏訪部順一、悠木碧、檜山修之、山路和弘、麦人。
劇場用アニメ作品で、本職の声優陣の中にシンガーソングライターの星野源と、お笑い芸人の秋山竜次が混じっています。アニメ映画において、声優以外のタレント起用は失敗に終わることが多々あります。しかし、星野も秋山も違和感なく声の仕事をこなしています。知名度や話題性ではなく、演技力や表現力で起用されたからでしょう。
湯浅政明監督は、監督デビュー作の『マインド・ゲーム』で見せたように、リアリティーよりもダイナミックな躍動感を重視する画風です。超人的なスピードで動いたり、軟体動物のようなポーズをとったりするのは、見ているだけで楽しくなります。これらの表現は現実的かどうかの意味でのリアリティーはありません。しかし、登場人物の心情を観客に共感させる意味でのリアリティーはあります。
アメリカの(特にディズニー製の)アニメは、3DCG(CGによる三次元表現)が主流になっています。その技術の進歩は目覚ましく、実写映画との区別が困難なレベルに達している作品もあります。そうしたアニメが世界を席巻している状況で、日本のアニメが本作やスタジオジブリ作品のような二次元表現を特色にしてもいいでしょう。皆で右へ倣えをしていたら、つまらない世界になりますから。
本作は個性的なキャラクターばかり登場し、現実離れした事件を起こす奇想天外で荒唐無稽な物語です。しかし、それは表面的な見え方です。物語の軸になっているのは、シャイな青年である「先輩」(声:星野)が「黒髪の乙女」(声:花澤香菜)を好きになり、自分の殻を破って一歩踏み出す行動をとるまでの成長譚です。これは誰もが共感でき、リアリティーのある身近な物語なのです。
★★★☆☆(2020年2月10日(月)テレビ鑑賞)
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