どうも。「現場の職員は頑張っているんだ。文句言うな!」と安倍政府の新型コロナウィルス対策批判を封じるのと、「兵隊さんはお国のために頑張っているんだ。文句言うな、非国民!」と戦前の軍上層部の作戦批判を封じたのは同じ手口です。後者が如何なる結果になったかは、義務教育の社会科の授業を居眠りすることなく、まともに受けていれば分かりますよね。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ブレードランナー2049』です。
前作から30年後の2049年の世界を舞台に、ブレードランナーの主人公“K”が、新たに起こった世界の危機を解決するため、30年前に行方不明となったブレードランナーのリック・デッカードを捜す物語が描かれる(映画.comより引用)。2017年日本公開作品。監督はドゥニ・ヴィルヌーヴで、出演はライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、シルヴィア・フークス、ロビン・ライト、マッケンジー・デイヴィス、カーラ・ジュリ、レニー・ジェームズ、デイヴ・バウティスタ、ジャレッド・レト。
1982年に公開された傑作SF映画『ブレードランナー』の続編です。前作の監督であるリドリー・スコットは、本作の製作総指揮を務めています。
前作が後世のSFに与えた影響は大きいです。汚しが入った暗いイメージの未来像と深みのある哲学的テーマは、太平洋を渡って日本の『AKIRA』や『攻殻機動隊』シリーズにも影響を与え、そこからまた太平洋を渡って『マトリックス』シリーズに継承されています。
その他にも大なり小なり前作から影響を受けている作品が数多くあります。それ故、その続編を作るとなった場合、どうしても既視感があるものになり、後出しじゃんけんで勝ったかのような扱いを受けてしまうおそれがあります。その不利を承知で作られたのが本作です。そして健闘に値する出来になっています。
先ず広い空間を引きの画で撮る構図が多く、それによって類似作品を超えるスケール感が生じます。また説明的な台詞やナレーションが極力排除され、クールで静かな緊張感を漂わせています。そして2時間43分(163分)という長い上映時間でありながら、意外と退屈しないのです(実はカットした部分も含めると4時間もあるそうです)。
これらの特徴を併せ持った作品は前作ではなく、『2001年宇宙の旅』でしょう。同作が人間(ボーマン船長)と機械(HAL9000)の対決を描くのに対し、本作は人間と人造人間(レプリカント)の対立関係を描いているという類似点もありますから。
本作は途中でアクションシーンがありながらも、全体的にレプリカントの謎を追うというミステリーの構成になっています。それが観客を退屈させないのでしょう。そして主人公と共にその謎を追った果てに、人間または人間らしさとは何かという知的な問題を考えてしまうのです。
★★★★☆(2020年2月8日(土)DVD鑑賞)
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