どうも。国会の予算委員会で野党が審議拒否すると、「サボっている!」と批判する奴らがウヨウヨ湧いてきます。しかし、審議拒否の理由を作ったのはANAホテルからの回答書面を迅速に提出しない安倍首相であり、「サボっているのは安倍!」が正解です。一つ覚えの野党批判は、怠け者のバカが賢そうなふりをする手口です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『三十九夜』です。
リチャードは偶然居合わせた事件がもとで、謎の女性を部屋へ泊めることになる。翌朝、何者かに刺殺される彼女。リチャードはダイイングメッセージを残され……(映画.comより引用)。1936年日本公開作品。監督はアルフレッド・ヒッチコックで、出演はロバート・ドーナット、マデリーン・キャロル、ルーシー・マンハイム、ゴッドフリー・タール、ペギー・アシュクロフト。
「サスペンス映画の巨匠」と称されるアルフレッド・ヒッチコックが、アメリカ進出する前のイギリス時代に監督したサスペンス映画です。
無実の罪を着せられた男の逃亡劇です。これは『北北西に進路を取れ』と同じく、ヒッチコック監督の得意なパターンです。また窓ガラス越しの窃視シーンは『裏窓』を、ラストシーンの舞台が劇場であることは『暗殺者の家』とそのリメイクである『知りすぎていた男』を思わせます。
映画監督が自分の得意な演出パターンを後年の作品で用いると、「十八番」や「集大成」と称賛されることもあり、逆に「ワンパターン」や「マンネリ」と酷評されることもあります。ミュージシャンでも、昔の曲で用いたフレーズやメロディを新曲で用いることは珍しくありません。これらを酷評するのは、つまらない人間のやることです。同じ演出パターンでも、同じフレーズやメロディでも、作り手や受け手の経験値が加わり、意味や印象が違ってくるものです。その違いを楽しめる感性を失いたくはありません。
さて本作では、殺人の濡れ衣を着せられたリチャード(ロバート・ドーナット)が、遺されたダイイングメッセージの謎を解くため、鉄道や自動車であちらこちらに移動します。後の『北北西に進路を取れ』は、その移動距離や移動手段をスケールアップしたものです。ダイイングメッセージは軍事機密に関わるもので、それが何であるかをラストまで明かしません。この軍事機密はサスペンスを展開させるための装置であり、他のもの(例えば高価な宝石)に代替可能です。これは「マクガフィン」と呼ばれ、ヒッチコック監督が他の作品でも用います。
本作は、伏線や裏切りなど仕掛けを配置し、観客を退屈させない作品に仕上がっています。これだけ観てもいいのですが、他のヒッチコック監督作品と見比べると、より楽しむことができるでしょう。
★★★☆☆(2020年2月5日(水)DVD鑑賞)
にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)