どうも。安倍首相が「桜を見る会」関係の領収書を出したくないためにコネる屁理屈を「珍答弁」と呼ぶならば、私たち庶民が確定申告で領収書を出したくないために屁理屈をコネたら「珍申告」ですか。その申告を税務署は大目に見てくれますか。見てくれませんよね。だったら、安倍首相の答弁も大目に見ず、嘘だデタラメだと厳しく糾弾すべきですよ、マスコミ諸君は。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『愛欲の罠』です。
殺し屋のナンバー・ワンを狙うために恋人さえも犠牲にしようとした男が、組織のために翻弄され自滅する様を描く(映画.comより引用)。1973年公開の日活ロマンポルノ作品。監督は大和屋竺で、出演は荒戸源次郎、絵沢萠子、安田のぞみ、中川梨絵、山谷初男、小水一男、港雄一、山本昌平、天野照子、山本英明、秋山ミチヲ。
監督の大和屋竺は脚本家であり、俳優でもあります。本作にも主人公の星(荒戸源次郎)と組織を結ぶ伝達係の高川役で出演しています。大和屋の名前を聞いたことが無くても、怪人マモーが登場する『ルパン三世 ルパンVS複製人間』の脚本を担当したので、私たち世代の多くは金曜ロードショーで大和屋作品を観ていることになります。
本作は殺し屋の話です。大和屋の初監督作『荒野のダッチワイフ』も殺し屋の話です。更に、殺し屋のナンバー・ワンを狙う男という設定が同じである、鈴木清順監督の『殺しの烙印』の脚本にも大和屋が関わっています(同作の脚本は「具流八郎」名義のグループであり、そこには大和屋だけでなく、本作の脚本を担当した田中陽造も参加しています)。大和屋は殺し屋という設定が好きなようです。
思えば、私たちカタギの人間は本物の殺し屋に会うことがないので、劇中の殺し屋の描写が変であっても、ツッコミを入れることができません。ツッコミを入れたら、「本物を見たことがあるのか?」と反論されてしまいます。それ故、大和屋は自由自在に描くことができる殺し屋の世界を選んでいると考えられます。
前述した『荒野のダッチワイフ』や『殺しの烙印』と同様、本作は大和屋らしいシュールな展開が目立ちます。殺し屋の組織についての具体的な説明は一切ありません。得体の知れない組織が存在し、それが星を追い詰めていきます。これには、フランツ・カフカの『審判』や『城』にも通じる不条理を感じます。
本作の見所は、西郷とマリオの殺し屋コンビです。大男の西郷と腹話術人形のマリオによる二人一組の強敵です。そのビジュアル、キャラクター、正体の全てが悪夢レベルで、子供に見せたら一生のトラウマになること確実です(子供にポルノ映画を見せてはいけません)。このコンビの怪演があってこそ本作を高く評価できるのです。
★★★★☆(2020年1月22日(水)DVD鑑賞)
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