どうも。もし中東で自衛隊員が亡くなれば憲法に自衛隊を明記し、もしコロナウィルス肺炎で死者が出れば憲法に緊急事態条項を加える。安倍晋三ら改憲派は、そう企んでいるのでしょう。自らの野望のために平気で国民を「人柱」にしようとする人でなしです。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『パラダイン夫人の恋』です。
盲目の軍人である夫を毒殺した嫌疑で起訴された美しき未亡人。その弁護を引き受けた敏腕弁護士は、未亡人に心を奪われたことにより法廷戦術が狂っていく。1953年日本公開作品。監督はアルフレッド・ヒッチコックで、出演はグレゴリー・ペック、アン・トッド、チャールズ・ロートン、チャールズ・コバーン、エセル・バリモア、ルイ・ジュールダン、アリダ・ヴァリ。
謎を秘めた未亡人マッデリーナを演じるのは、クールな美貌のアリダ・ヴァリ。敏腕弁護士キーンを演じるのは、誠実そうなイメージのグレゴリー・ペック。的確なキャスティングです。
原題が「THE PARADINE CASE」ですから、直訳すれば邦題は「パラダイン事件」です。それを「パラダイン夫人の恋」としています。しかし、恋をしているのはキーンであり、マッデリーナは恋をしていないのではないかと疑問に思いながら観ていると、終盤で「パラダイン夫人の恋」が事件の鍵になっていると分かります。
本作はアメリカ映画でありながら、イギリスを舞台に設定されています。それ故に、法廷シーンで裁判官や弁護人はカツラを被っています。イギリス出身のアルフレッド・ヒッチコック監督は、アメリカ進出する前に『ふしだらな女』や『マンクスマン』でイギリス法廷劇を経験済みなので、法廷シーンは手慣れた感じです。
キーンはマッデリーナの無実を信じるあまり、強引な法廷戦術を取り、妻であるゲイ(アン・トッド)との関係までギクシャクしていきます。弁護人は被告人の利益を第一とするにしても、そこに私情を挿むことにより、被告人にも弁護人にも良からぬ方向へと事態は進んでいきます。
本作を未見の人がいるでしょうから、結末は伏せておきます。それでも言えることは、事件の真相はマッデリーナしか知らないということです。もし観客が「マッデリーナが真犯人だ」あるいは「マッデリーナは無実だ」と決めつけていたら、それは主観に囚われたキーンと同じ間違いを犯しています。
それは現実の裁判でも同じことです。まだ裁判が始まってもいないのに、先入観や思い込みで容疑者を犯罪者扱いする愚かさは、理性的な現代人ならば避けなければならないのです。
★★★☆☆(2020年1月17日(金)DVD鑑賞)
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