【映画評】甘い罠 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。国会が開かれたら、あいつらは不逮捕特権で約半年間も野放しにされます。そうしている間にバカな国民は奴らの悪事を忘れてしまうでしょう。この痴態が令和の日本です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『甘い罠』です。

 

ヤクザに騙されてコールガールになった女を、その恋人が追う。1963年公開のピンク映画。監督は若松孝二で、出演は五所怜子、竹田公彦、香取環、睦五郎。

 

反体制・反権力の作風で知られたピンク映画の帝王、若松孝二監督のデビュー作です。大手撮影所の勤務経験が無く、映画学校卒業生でもない若松が、少年院時代に酷い目に遭わされた警察官を映画の中でならブッ殺すことができるという動機でピンク映画界に入り、監督デビューまでしました。

 

後に、海外の映画祭でも高評価される作品を作り出した若松ですが、当時は新人ピンク映画監督に過ぎず、本作のフィルムは雑に扱われ、行方不明とされてきました。しかし、フィルム収集家からの寄贈により存在が確認され、動画配信サイトYouTubeで公開されています。

 

ところが、記録では上映時間82分となっている本作が、54分しか現存していません。上映館が編集したとされています。どのような事情があったのか分かりませんが、上映館が勝手に編集するのは『ニュー・シネマ・パラダイス』を思い出させます。

 

そして、ピンク映画にジャンル分けされる本作でありながら、濡れ場が少しもエロくありません。肌の露出はあっても、乳首すら出さないほどです。当時のレーティングが厳しかったのか、それとも上映館がカットした部分にエロいシーンがあったのかは、今となっては謎のままです。

 

意に反してコールガールにさせられた女は、ヤクザに命懸けの抵抗をして、復讐を果たします。そこにエロスと暴力、そして女を食い物にするヤクザ=搾取者への反抗という多くの若松作品に共通する要素が含まれています。それでも、まだ新人監督だから、後の作品のような強烈さや爆発力は見られないというのが正直な感想です。

 

★★☆☆☆(2020年1月11日(土)インターネット配信動画で鑑賞)

 

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