どうも。環境保護を訴える少女に対し、生意気だとばかりにマウンティングするオッサン連中は反吐が出るほど醜悪ですね。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『OUT』です。
殺人事件をきっかけに、最悪の状況からOUT(脱出)しようとする4人の女たちの姿を、コミカルかつスリリングに描いたサスペンス(映画.comより引用)。2002年公開作品。監督は平山秀幸で、出演は原田美枝子、室井滋、西田尚美、倍賞美津子、間寛平、大森南朋、小木茂光、千石規子、吉田日出子、香川照之。
倍賞美津子、原田美枝子、室井滋、西田尚美という女優4人の競演が売りです。しかし、本作の翌年に公開された『阿修羅のごとく』における大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子の組み合わせに比べれば、見劣りするのは否めません。『阿修羅のごとく』には、更に桃井かおりと八千草薫まで出演しており、本作に吉田日出子と千石規子を加えても、総合力で負けている感があります(あくまでネームバリューだけの評価です)。
弁当工場で知り合った4人の女のうち、弥生(西田)がギャンブル依存症でDV夫の健司(大森南朋)を絞殺したことをきっかけに、平凡な日常から逸脱していきます。健司の死体は雅子(原田)とヨシエ(倍賞)によってバラバラにされます。本作の前年に公開された『殺し屋1』で何人もの肉体をバラバラにするイチ役を演じた大森が、本作では肉体をバラバラにされる役を演じるのは、何か意図的なキャスティングでしょうか。
はじめてのバラバラ解体に困惑する雅子とヨシエを見ていると、『冷たい熱帯魚』や『凶悪』における死体処理の手際の良さを再確認できます。その雅子とヨシエが、2回目の死体処理では動揺せずにテキパキとこなすので、物事には慣れが重要だと分かります。
死体処理に巻き込まれる邦子(室井)も含めた4人の女が、危険な状況下で強くなっていくのに対し、雅子の夫で失業中の良樹(小木茂光)や、邦子が借金をしているローン会社社長の十文字(香川照之)は、弱さを強調して描かれます。本作で凶暴に描かれる男は、健司が通っていた違法カジノ店オーナーの佐竹(間寛平)です。しかし、佐竹が金属バットを振り回して暴れる姿は、吉本新喜劇で杖を振り回す間の姿と重なり、怖さより笑いが先立ちます。『血と骨』におけるビートたけしと同じ現象です(本作と『血と骨』の脚本が鄭義信であるのは偶然?)。
何かと手を尽くしても、4人は窮地に追い込まれます。そもそも健司を殺害した弥生は妊娠中のため、死体処理にも関与せず、能天気に過ごします。邦子はバラバラ死体を雑に廃棄したので、そこから犯行が発覚していきます。このボケ役2人が事態を悪化させ、しっかり者の雅子を苦悩させるという人間関係がブラックな笑いを生むはずですが、平山秀幸監督が真面目な性格なので、大きな笑いにならないのが残念です。『復讐するは我にあり』の倍賞と、『青春の殺人者』の原田が出演しているので、期待してしまうのですが。
それにしても、雅子は夫のリストラにより家庭崩壊中で、ヨシエは寝たきりの姑(千石規子)を介護中で、邦子はブランド品の買い漁りによる借金漬けで、弥生はギャンブル依存症の夫からのDV被害者という、彼女たちが抱える問題は現在でも変わらずに通用します。約20年前に本作で描かれた時代状況が現在と変わっていないことから、平成時代は長い停滞であったと思ってしまうのです。
★★★☆☆(2019年12月3日(火)DVD鑑賞)
![]() |
【中古】OUT 【DVD】/原田美枝子DVD/邦画サスペンス
780円
楽天 |
にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)