【映画評】旗本退屈男 謎の蛇姫屋敷 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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どうも。イギリスは「EUから離脱した国はどうなるか?」という史上初の実験に挑みます。日本は「バカをトップに置いた国はどうなるか?」という実験を7年も続けていますが、そろそろ止めていいのではないでしょうか。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『旗本退屈男 謎の蛇姫屋敷』です。

 

旗本退屈男こと早乙女主水之介が大老柳沢美濃守の陰謀を暴く時代劇。1957年公開作品。監督は佐々木康で、出演は市川右太衛門、北大路欣也、山東昭子、堺駿二、渡辺篤、星十郎、月形龍之介、丘さとみ、花柳小菊、岩井半四郎、大川恵子、山形勲、尾上鯉之助。

 

私の世代では、西川のりおの「天下御免の向こう傷!」という物真似ギャグでしか知らない、往年の人気時代劇シリーズです。戦前から製作され、本作がシリーズ第22作というから驚きです。

 

早乙女主水之介(市川右太衛門)の小姓である霧島京弥役を、市川の実子である北大路欣也(当時14歳)が演じています。まさか、この少年が貫禄ある大物俳優に育ち、白い犬の役まで演じることになるとは、当時の人々は誰も予想できなかったでしょう。それならば、主水之介の妹である菊路役の山東昭子が国会議員になり、参議院議長まで務めることも予想できなかったでしょうけど。

 

映画が大衆娯楽として栄えていた時代の作品であり、本作のように人気シリーズとなれば、ハイペースで作られていました。しかし、粗製乱造ではなく、大きな屋敷のセットを建て、岩国の錦帯橋や安芸の宮島でロケを行っているのは、今の時代劇より贅沢な作り方と言えます。

 

本作の内容は、かなり御都合主義的で明快なストーリー展開になっています。とにかく主水之介が強すぎます。主水之介1人に対し、30人が相手になっても、主水之介の勝利は揺るぎません。もう『沈黙』シリーズにおけるスティーヴン・セガールに劣らぬ強さです。

 

5代将軍徳川綱吉(尾上鯉之助)や大老柳沢美濃守吉保(山形勲)など、実在した歴史上の人物が登場し、毒蛇コブラを用いた将軍暗殺計画というホラ話まで出てきます。当時の観客は、これを真に受けることなく、一種のファンタジーとして楽しんでいたでしょう。それに比べ、百田尚樹のインチキ本『日本国紀』を真に受けるような現代人の知的劣化には呆れてしまうのです。

 

★★★☆☆(2019年11月30日(土)DVD鑑賞)

 

 

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