【映画評】オデッセイ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。公文書を保存期間1年未満で破棄できる内閣府のルールなんて、民間企業では採用しないでしょう。監査や税務署が怖いから、書類は最低でも1年間は保存するからです。内閣府にも国会や会計検査院によるチェックがあるので、1年未満で破棄というのはあり得ないはずですけどね。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『オデッセイ』です。

 

火星での有人探査の最中、嵐に巻き込まれてしまったワトニー。仲間たちは緊急事態を脱するため、死亡したと推測されるワトニーを置いて探査船を発進させ、火星を去ってしまう。しかし、奇跡的に死を免れていたワトニーは、酸素は少なく、水も通信手段もなく、食料は31日分という絶望的環境で、4年後に次の探査船が火星にやってくるまで生き延びようと、あらゆる手段を尽くしていく(映画.comより引用)。2016年日本公開作品。監督はリドリー・スコットで、出演はマット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・ペーニャ、ケイト・マーラ、ショーン・ビーン、セバスチャン・スタン、アクセル・ヘニー、キウェテル・イジョフォー。

 

宇宙飛行士ワトニー(マット・デイモン)は火星に一人取り残され、サバイバル生活を余儀なくされます。『太平洋ひとりぼっち』ならぬ「火星ひとりぼっち」です。『太平洋ひとりぼっち』で食料の描写に時間をかけたのと同じく、本作でも食料確保は最重要課題です。人間は食べないと死んでしまいますから。

 

ワトニーは残された物資を利用して、火星でジャガイモの栽培に成功します。火星でたった一人のワトニーが調理したジャガイモを食べるシーンは、正に「孤独のグルメ」です。劇中では描写されていませんが、『孤独のグルメ』の井之頭五郎のように、ワトニーも心の声で「美味しい」と言っていたでしょう。

 

空腹は満たされても、過酷な状況はワトニーの精神を疲弊させます。そのワトニーの精神を癒すのは、船長ルイス(ジェシカ・チャステイン)が残して行った音楽です。ドナ・サマーやアバという古めの楽曲がラインアップされ、ワトニーは趣味に合わないと嫌っていましたが、聴いている間に好きになっていきます。音楽の力は偉大です。

 

火星で孤軍奮闘するワトニーの生存を知った地球上のNASAスタッフたちは、わずかな可能性に賭けてでも、ワトニーを地球に帰還させようと尽力します。そこでNASAは中国国家航天局と協力する展開になります。この展開は、中国企業が本作のスポンサーだからという現実的な事情が原因なのかもしれません。しかし、アメリカ人が中国の実力を認めていなければ説得力がない展開です。ハリウッド映画には、アメリカ人の対中意識が反映されています。

 

ワトニーを救出するため、多様な人種や民族が混じったNASAと中国国家航天局が動き、世界中の人々がテレビ中継を固唾を呑んで見つめ、救出に成功した時には歓声を上げて大喜びします。それは国家や人種をボーダーレスにした「地球の人」たちの姿なのです(本作の原題は『The Martian』すなわち「火星の人」です)。

 

★★★★☆(2019年11月26日(火)DVD鑑賞)

 

 

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