【映画評】王子と踊子 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。日本の首相が外国に多額の税金をバラマキしても、その国の庶民のために使われるとは限りません。金を受け取った外国政府が好き勝手に使うことがあります。それよりも、医療を施したり、農業用水路を建設したりして、現地の人々と直に接する地道な活動に従事する方が、日本の評価を高める真の国際貢献です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『王子と踊子』です。

 

1911年のロンドンで、カルパチア王国の摂政がアメリカ人の踊り子を見初めたことから、踊り子がカルパチア国王と摂政の関係を改善するまでに至るコメディ。1957年日本公開作品。監督と出演はローレンス・オリヴィエで、出演はマリリン・モンロー、シビル・ソーンダイク、リチャード・ワッティス、ジェレミー・スペンサー。

 

本作のオリジナルは、1953年のエリザベス女王戴冠式の際に上演予定だった舞台劇です。その映画化権をマリリン・モンローが買い取り、本作が作られました。自分が出たい映画は自分がプロデュースして作るという姿勢は、現在のトム・クルーズと重なってきます。

 

オリジナルの舞台劇は、ローレンス・オリヴィエとヴィヴィアン・リーが夫婦共演する予定でした。踊子役を演じるのはリーで、映画版の本作ではモンローが演じています。リーとモンローでは、かなりタイプが違います。それでも演じたいというモンローの本気度は、オリヴィエを出演させるだけでなく監督も任せ、舞台版と同じテレンス・ラティガンに脚本を書かせたことに表れています。

 

摂政チャールズ(オリヴィエ)と少年国王ニコラス(ジェレミー・スペンサー)の親子間対立を、平民である踊子エルシー(モンロー)が丸く収めるという内容は、コメディと言えども、政治性や社会性を帯びています。しかもエルシーは言葉によってチャールズとニコラスを説得するので、高い演技力を必要とする役です。そこにモンローが脱セクシーの演技派路線へも幅を広げて行こうとした意図を感じます。

 

しかし、本作のモンローは胸の谷間を強調し、ボディラインが出る衣装を終始身に纏っています。チャールズがエルシーを見初めたのは、エルシーが胸を「ポロリ」したことが原因です。これらから、セクシー路線と演技派路線の間で揺れるモンローの葛藤を見ることが出来るのです。

 

★★★☆☆(2019年11月25日(月)DVD鑑賞)

 

 

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