【映画評】狂った一頁 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。「シンクライアント方式」という難しい言葉を使えば、国民はバカだから騙せると思った安倍晋三。しかし、シンクライアント方式であれば、端末のパソコンのデータは簡単に削除できても、サーバーのデータは残るので、桜を見る会の招待者リストは復元可能となり、自らの首を絞めることになります。バカを騙せると思った奴が一番バカという例です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『狂った一頁』です。

 

精神病院で小間使いをしている老人が狂気の世界に取り込まれていく前衛映画。1926年公開作品。監督は衣笠貞之助で、出演は井上正夫、中川芳江、飯島綾子、根本弘、関操、高勢実、高松恭助、坪井哲、南栄子。

 

大正15年に公開された白黒サイレント映画です。監督は後に『地獄門』でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞する衣笠貞之助、原作と脚本は後にノーベル文学賞を受賞する川端康成、撮影助手は後に「日本特撮の神様」と呼ばれる円谷英二(当時は円谷英一)という顔ぶれですから、歴史的に価値のある作品です。

 

公開当時としては先進的な撮影技術を用いて、狂人から見た世界を視覚化しています。日本で1921年に公開された、ドイツ映画『カリガリ博士』の狂人の妄想を視覚化する演出から影響を受けたと言われています。個人的には、上掲画像にある「踊り続ける女」の印象が強烈です。

 

無声かつ無字幕なので、ストーリーを理解するのは難しいです。本作完成後、川端がシナリオをまとめて発表したので、それを読めば、ストーリーを把握できるでしょう。しかし、短編小説を未読でも、小間使いの老人が狂人に囲まれて生活している間に、自らも現実と妄想の区別が曖昧な狂人になる話だということは理解できます。

 

本作は、客が取っつきにくい白黒サイレント映画で、かつ内容が前衛的で難解であり、しかも精神病患者を奇異な目で見る差別的な作品だと解され、今までソフト化されていません。確かに問題作ではありますが、問題作だからこそ何が問題なのかを考える機会を奪わないように、封印作品扱いしてはいけないのです。

 

★★★☆☆(2019年11月22日(金)インターネット配信動画で鑑賞)

 

YouTubeで無料鑑賞することもできます。

 

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