【映画評】処女ゲバゲバ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。国会議員が大幅スピード違反しても、警察が見逃すというのは、どこの三流国家の話ですか?

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『処女ゲバゲバ』です。

 

駆け落ちしたカップルが組織に拉致され、荒野で殺されそうになるが逆襲に出るピンク映画。1969年公開作品。監督は若松孝二で、出演は芦川絵里、谷川俊之、林美樹、大和屋竺、木俣尭喬。

 

タイトルの命名者は大島渚です。ゲバゲバと言っても、往年のお笑い番組『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』のパクリではありません。本作の公開が先なので、むしろ元祖はこちらです。

 

脚本の「出口出」は、若松孝二、足立正生、大和屋竺の共同ペンネームです。劇中でオリジナルの主題歌が流れ出すのは、大和屋も参加していた「具流八郎」が脚本を書いた『殺しの烙印』に似ています。

 

富士山の裾野である御殿場の荒野を舞台に、観念的かつ抽象的でシュールな演劇調の演出で物語は進行していきます。ヌードも濡れ場もありますが、ポルノ映画としての「実用性」は極めて乏しいです。エロ目的で観に来た客は、さぞかし困惑したことでしょう。但し、政治性や社会性が強いことで知られた若松監督作品を、エロ目的で観に来る客は少なかったはずです。

 

カップルの男を「ボスと呼べ」という、本物のボスからの不思議な命令に忠実な手下たちは、逃亡してから逆襲に出た男を「ボスだから」という理由で殺せません。この不条理な展開には、空虚で形だけの権威に盲従することの愚かさが表れています。

 

ボスを頂点とする組織の上層部は、カップルを殺そうとした手下たちも虫けらの如く銃殺します。まるで趣味の狩猟を楽しむ貴族のようです。その上層部に対し、底辺にいる全裸の男が大暴れ(暴力=ゲバルト)して逆襲に出る終盤の流れには、胸がすくカタルシスを感じるのです。

 

★★★☆☆(2019年10月22日(火)DVD鑑賞)

 

 

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