どうも。『ジョーカー』からの『IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』というピエロつながり。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『侠花列伝 襲名賭博』です。
旅の博徒に恋をした芸者が組同士の利権争いに巻き込まれ、何の因果か女組長になる任侠映画。1969年公開作品。監督は小沢啓一で、出演は松原智恵子、藤竜也、梶芽衣子、江原真二郎、細川ちか子、奈良岡朋子、佐野浅夫、深江章喜、高橋英樹。
公開当時の日活スターが揃い踏みしています。松原智恵子は清純派からの脱却を図り、可憐さと力強さの両面を見せます。藤竜也の刺青姿は『龍三と七人の子分たち』とリンクし、龍三の若い頃に見えます。梶芽衣子は『女囚さそり』シリーズでブレイクする前のクールビューティーを見せます。そして高橋英樹は「真麻のパパ」のイメージが付く前のシュッとした格好良さを見せてくれます。
何かここまでスターを集めると、単体で集客できるスターがいなかった日活の斜陽化が浮き彫りになります。松原と梶の入浴シーンまであるという観客サービスも、それを強調しています。
任侠物に着手したのも、ライバル会社である東映に対抗したのか、それとも便乗したのか分かりませんが、必死さの表れのようです。日活任侠物は東映任侠物より画が明るく綺麗で、猥雑さがありません。また、殺陣に時代劇的な溜めや決めがなく、スピード感があり、しかも引きの画が多いです(東映任侠物は寄りの画が多い印象があります)。同じジャンル故に比較可能で、映画会社のカラーの違いを実感できます。
本作で梶が女博徒マキ役を演じていることから、東映で藤純子が主演していた『緋牡丹博徒』シリーズを意識しているのは明らかです。しかし、同シリーズの作品に比べ、どうも結末にスッキリしないものがあります。それは、終盤の殴り込みシーンで命懸けで戦うのが志満(松原)に惚れた高次(藤)と露八(高橋)であり、志満が参加していないからです。芸者上がりで戦闘能力が低い志満のために、高次と露八が献身するのを見せ場としたいのは分かりますが、DVDジャケットのように志満が短刀を構える姿を見せられていては、「それは無いぜ」という気持ちになってしまうのです。
★★☆☆☆(2019年10月17日(木)DVD鑑賞)
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