どうも。新聞の消費税率は8%で、トイレットペーパーと紙おむつの消費税率は10%です。政権ヨイショばかりで批判精神を失った新聞は、ケツ拭く紙より生活に不要な物ですけどね。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『巨人ゴーレム』です。
生命を与えられた泥人形のゴーレムが迫害されたユダヤ人を救うファンタジー。1920年製作のドイツ映画で、おそらく日本劇場未公開作品。監督と主演はパウル・ヴェゲナーで、出演はアルベルト・スタインリュック、エルンスト・ドイッチュ、リディア・サルモノワ。
テレビゲーム『ドラゴンクエスト』にも登場する怪物ゴーレムです。本作でパウル・ヴェゲナーが演じるゴーレムは、おかっぱ頭の大男にしか見えないのが、ビジュアル的に残念です。
本作は古典ファンタジー映画として、後世の作品に影響を与えています。本作の終盤でゴーレムが少女と触れ合うシーンは、ボリス・カーロフ主演の『フランケンシュタイン』に応用されています。また、土で出来た大きな人形が暴れ、庶民を圧政から救うというストーリーは、日本の『大魔神』の元ネタとなり、更に北朝鮮の『大怪獣プルガサリ』に受け継がれています。
庶民を圧政から救ったゴーレムが、平和状態では無用の長物となる展開は、『大怪獣プルガサリ』でも同じです。同作は金正日の指揮下で制作されており、彼が父親である金日成に対する思いを作品化したと解することもできます。金日成は革命家として北朝鮮建国の父となっても、その後の内政に軍人的能力は不要だということです。
しかし、黒澤明監督の『七人の侍』において、野武士を撃退した侍たちが農村から去って行くというラストも、同様の思想が根底にあります。平和を取り戻した農村では、百姓仕事が出来ない侍たちは無駄飯食らいになりますから。そう考えれば、本作におけるゴーレムの運命は、古今東西を問わない人類普遍の真理でもあります。
本作公開当時、第一次世界大戦の敗戦に打ちひしがれたドイツ国民は、劇中で迫害されるユダヤ人に共感しました。それによって、本作はヒットしました。しかし、その後でナチスの台頭により、ドイツ国民がユダヤ人を迫害したという歴史的事実は、恐ろしく感じられるのです。
★★☆☆☆(2019年9月3日(火)インターネット配信動画で鑑賞)
パブリック・ドメインなので、YouTubeで無料鑑賞できます(日本語字幕無し)。
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