どうも。増税して政府に無駄遣いさせるより、減税して国民に消費させる方が景気回復すると思います。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『農夫の妻』です。
数年前に妻を亡くし、ひとり娘を嫁がせてからは寂しいやもめ暮らしを送っていた農夫スウィートランド。ついに再婚を決意した彼は、家政婦のアラミンタと相談しながら4人の女性を候補に選ぶ。そして彼女たちに次々と求婚していくが、いずれも断られてしまい……(映画.comより引用)。1928年製作のイギリス映画で日本劇場未公開作品。監督はアルフレッド・ヒッチコックで、出演はリリアン・ホール=デイヴィス、ジェームソン・トーマス、ゴードン・ハーカー。
アルフレッド・ヒッチコック監督の初期作品で、ジャンルとしてはコメディに分類されます。しかし、コメディにしては、あまり笑えません。ヒッチコック監督は、サスペンスの中に隠し味としてコメディを入れる分には良くても、全編コメディとなると上手く出来ません。これはヒッチコック監督を敬愛するスティーヴン・スピルバーグやブライアン・デ・パルマにも見られる傾向です。
サイレント作品故に、ヒッチコック監督は台詞への過度な依存を避け、映像で物語を観客に理解させようと努力しています。スウィートランド(ジェームソン・トーマス)が自分にとって理想の再婚相手は誰か悩む心理を、亡き妻の椅子に求婚相手の姿を合成させる特撮を用いて表現するのは、当時としては新しめの技法でしょう。若きヒッチコック監督の意欲を感じることができます。
スウィートランドが4人の女性に求婚するのは、オジサンがオバサンに求愛する構図になります。オジサンやオバサンと言っても、スウィートランド役を演じるトーマスが当時40歳であり、4人の女性は30代でしょう。きちんとした大人に見えるので、彼らが私より年下であることに驚きます。
不器用なスウィートランドは4人の女性にフラれてしまいます。スウィートランドの不器用さは、今だったら杉本哲太が演じるとピッタリです。失意のスウィートランドは自分の身近にいて、自分を最も理解している存在に気付きます。アラミンタ役を演じるリリアン・ホール=デイヴィスは当時30歳です。40歳の男優と30歳の女優が演じる本作は、当時でも今でも大人の恋愛物に見えます。アンチエイジング志向が蔓延る現代では、アラフォー男優とアラサー女優を絡ませても、ここまで大人の成熟を感じさせる作品には仕上がり難いでしょうね。
★★☆☆☆(2019年8月23日(金)インターネット配信動画で鑑賞)
![]() |
農夫の妻 [DVD]
2,292円
楽天 |
パブリック・ドメインなので、YouTubeで無料鑑賞することもできます(日本語字幕無し)。
にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)