【映画評】宇能鴻一郎の濡れて打つ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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どうも。RIZINは朝倉兄弟を推していくのか気になる格闘技好きなおっさんです。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『宇能鴻一郎の濡れて打つ』です。

 

テニス部に入った女子新入部員のセックスライフを描く(映画.comより引用)。1984年公開のにっかつロマンポルノ作品。監督は金子修介で、出演は山本奈津子、林亜里沙、石井里花、高山成夫、原田悟、沢田情児。

 

あたし観ちゃったんです。宇能鴻一郎原作の本作を。宇能先生ったら、官能小説に路線変更する前、『鯨神』で芥川賞を受賞しているんです。あたし、それを知って、どうにかなっちゃいそうです。

 

文体を戻します。宇能の原作小説は未読ですけれども、本作の登場人物名が、ひろみ(山本奈津子)、お蝶(林亜里沙)、蘭子(石井里花)なので、山本鈴美香原作の少女漫画『エースをねらえ!』のパロディだと分かります。元ネタがスポーツ漫画だから、本作には特訓や魔球という要素も入っています。勿論どちらも下ネタですが。

 

本作は平成『ガメラ』三部作『デスノート』二部作金子修介初監督作品です。金子監督は(実写)映画と漫画・アニメをボーダーレスに捉えるオタク気質を有しています。金子監督より上の世代は、漫画・アニメを映画より格下とする価値観が強く、金子監督は変わり者の新人類扱いされたことでしょう。

 

ところが、そのオタク気質は金子監督の有効な「武器」であり、樋口真嗣や伊藤和典というアニメ畑の人間を参加させた『ガメラ』や、人気漫画の実写化である『デスノート』を成功させました。その金子監督のデビュー作が人気漫画のパロディというのは、必然のような気がします。

 

金子監督のオタク気質は本作の内容にも反映されています。ひろみはプレイボーイのテニス部員である坂西(原田悟)ではなく、オタクの報道部員で実は巨根の玉本(高山成夫)を最終的に選びますから。映画という虚構の世界でオタクを勝利させ、オタクの願望を成就させているかのようです。

 

金子監督より若い世代には、オタク気質を有する映画監督が珍しくありません。映画だけでなく、漫画やアニメから強く影響を受けてきた世代ですから。それ故、本作を時代の先駆けとして評価することもできるのです。

 

★★★☆☆(2019年7月31日(水)DVD鑑賞)

 

 

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